研究課題/領域番号 |
23K10669
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
村上 貴聡 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 教授 (30363344)
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研究分担者 |
立谷 泰久 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ医学・研究部, 先任研究員 (10392705)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 審判員 / コミュニケーションスキル / スキル向上プログラム |
研究実績の概要 |
審判員は判定の伝え方や抗議への対応など状況を速やかに把握した上で、迅速かつ正確なコミュニケーションが求められる。そこで、本研究では,審判行動に影響を及ぼす要因としてコミュニケーションスキルに着目し、審判員特有の言語的・非言語的コミュニケーション内容を明らかにするとともに向上プログラムを開発する。具体的には、コミュニケーションスキルに関わる国内外の文献的研究を行い(研究1)、面接調査を実施することにより審判員のコミュニケーションスキルの様相を明らかにする(研究2)。次に、審判員特有のコミュニケーションスキル測定尺度を開発し、その関連性について検討する(研究3)。最後に、審判員におけるコミュニケーションスキル向上プログラムを考案し、その効果を検証する(研究4)ことであった。 2023年度は研究1および研究2の一部を実施した。調査対象者の収集においては、競技団体と十分に連携して調査を実施することができた。実施にあたっては、国際審判員の経験を有するラグビー審判員4名を対象として、審判活動時のコミュニケーションの様相について半構造化面接を行った。分析の結果、審判員のコミュニケーションとして、「選手との距離感」「毅然とした態度」「的確な説明」「笛の強さ」「審判間のアイコンタクト」などが重要な内容として報告された。また、選手とのコミュニケーションを円滑にするために、試合時のジェスチャーや表情をビデオで確認したり、イメージを活用していることが示された。これらの結果をもとに、コミュニケーションスキルを測定する尺度開発のための項目を収集していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トップレフェリーへのインタビューを実施するため、面接調査の日程調整に時間を要すると思われたが、対象者にはスムーズに承諾を得ることができた。そのため、得られたデータに関して内容分析を行うことにより、審判活動時のコミュニケーションの様相を明らかにすることができ、順調に進展している。なお、今回の結果は2024年度に開催される日本スポーツ心理学会で発表予定である。また、競技団体とも十分に連携できており、研究の協力体制ができていることから、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続き他種目の審判員に面接調査を実施して、コミュニケーションスキルを測定する項目を収集する。そして、審判員特有のコミュニケーションスキルに関する項目を選定し、研究分担者や連携研究者と議論することにより、測定尺度を作成する。具体的には、複数の競技団体における公認審判員300名を対象に横断的調査を行い、コミュニケーションスキルの内容を抽出し、測定尺度を開発するとともに、尺度の信頼性および妥当性を検証する。また、調査項目の内容の妥当性については、国内外で活躍する国際審判員複数名とスポーツ心理学を専門とする研究者による2段階の確認作業を経て行う。また、研究の成果や公表については、日本体育・スポーツ・健康学会、日本スポーツ心理学会で研究発表を行うとともに、これまでと同様に各競技団体の審判員会へ情報発信を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は面接調査のみの実施であったため、量的なデータ分析に必要なソフトの購入(SPSS)ができなかったこと、調査協力者への謝礼がそれほど必要なかったことが要因であった。2024年度は測定尺度作成にあたり本調査を実施するため、データ入力にかかる費用、調査協力者への謝礼、データ分析用のPC及びソフトが必要となる。また、研究成果を公表し情報を収集するため、日本スポーツ心理学会や日本体育・スポーツ・健康学会、国際学会などに参加予定である。
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