本研究では,スポーツ風洞実験に,PIV可視化方法、シミュレーション手法を加えることで,スポーツ用具の表面形状の変化と,選手の姿勢による体周りの空気流れ(境界層の移動,渦の生成・成長・崩壊など)の変化を,高精度で計測可能な新スポーツ流体解析プラットフォームを構築することを目的とした.特にコロナ渦など感染症の状態での身体運動と流体を連成させたこのプラットフォームは,これまで不明であった身体運動(姿勢)における非定常流体力や非定常渦動態を学術的に解明できるだけでなく,身体運動と流体の相互作用の理解や応用が進み,競技パフォーマンス向上が期待できる. 2023年度では,ランニング中に発生する呼吸による感染について,速度や粒子のサイズで検討を行った.また,スポーツ環境での対面時のリスク評価について研究を行った. 特に,今回得られた結果では,対面でのスポーツ場面は,相手が移動してから約5秒間,空気感染率が非常に高いことを分かった. これらの研究結果に基づいて,対面でのスポーツ場面では,5秒間のリスク軽減戦略を検討することにより,空気感染におけるウイルス暴露のリスクを大幅に低減することが期待される.
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