研究課題/領域番号 |
23K10691
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
篠原 康男 城西大学, 経営学部, 助教 (50755535)
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研究分担者 |
鳥取 伸彬 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (80875948)
前田 正登 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90209388)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 疾走速度変化 / 加速 / 最大疾走速度 / 速度維持 / 局面構成 / 数式化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,児童期の小学生の50m走において疾走タイムが変化する際に,疾走全体における加速・最大疾走・速度維持に関わる能力がどのように関係するかを明らかにすることである。 本年度は,当初計画していた実験の被験者の募集に関して,一部調整が必要となったため,当初計画していた実験に先立ち,本実験を想定した予備実験ならびにデータの分析方法や考察方針に関する検討を進めた。特に,疾走速度変化の数式化による定量的な評価について検討を進めた。全力疾走に支障のない健常な1年生から6年生の男子児童および女子児童を対象に,スタンディングスタートからの50m走を1本行わせた。各被験者の50m走において,被験者が疾走を開始してから終了するまでの被験者の疾走速度を,レーザー式速度測定器(LDM301S)を用いて100Hzで測定した。得られた時間―距離データおよび時間―速度データを元に,先行研究(Samozino et al., 2016)で提案された理論式および手法による疾走速度変化の数式化を行った。数式化によって算出された指数や係数を用いて,疾走中の力―速度関係やパワー―速度関係に関する分析項目を算出した。分析の結果,学年が大きいと最大疾走速度は有意に大きかった。また,疾走速度変化の加速様態を定量的に評価検討した結果,学年が大きいと最大水平力や最大水平パワーが有意に大きい傾向がみられた。しかし,学年が上がる中で,これらの値が停滞または減少する学年間もみられた。現在,局面構成に関する分析も進めており,引き続き定量的な評価法の検討を進めつつ,今後は経年的なタイムの変化にともなう疾走能力の縦断的な検討方法についても,検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,児童期の小学生の50m走において疾走タイムが変化する際に,疾走全体における加速・最大疾走・速度維持に関わる能力がどのように関係するかを明らかにすることである。本研究では,小学生の50m走における疾走全体を対象にして,その速度変化をレーザー速度測定器により経年的に測定することを計画している。本年度は,当初計画していた実験の被験者の募集に関して,一部調整が必要となったため,当初計画していた実験を想定した予備実験ならびにデータの分析方法や考察方針に関する検討を進めた。また,疾走タイムの経年的な変化と疾走能力の関係を縦断的に検討していくために,本年度は特に疾走速度変化の数式化による定量的な評価について検討を進めた。当初計画していた実験の実施には至らなかったものの,データの分析方法や分析の方向性,評価方法について,学会発表を行い,他の研究者と意見交換することができた。疾走速度変化の定量的な評価方法については,引き続き検討が必要な部分があるものの,これらは本研究の目的達成に繋がるものであり,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き,次年度もデータの分析方法や考察方針に関する検討を進めていくとともに,本実験の実施に向けた準備(被験者の募集方法の見直しなど)を進め,測定を実施する予定である。そして,疾走タイムの経年的な変化と疾走能力の関係を縦断的に検討していく。また,本年度は特に疾走速度変化の数式化による定量的な評価について検討を進めたが,局面構成や疾走時のストライドおよびピッチのデータも踏まえて,さらに検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に従い,支出を行った結果生じた残額である。少額ではあるが,繰り越した残額と翌年度分の助成金を合わせて,実験と得られたデータの分析を進めるとともに,学会発表や論文投稿の費用として,研究成果を公表していく予定である。
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