研究課題/領域番号 |
23K10708
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
吉田 拓矢 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部門, 契約研究員 (50821716)
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研究分担者 |
図子 あまね 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部門, 契約研究員 (70878173)
前村 公彦 筑波大学, 体育系, 准教授 (40454863)
小野 誠司 筑波大学, 体育系, 教授 (70754753)
谷川 聡 筑波大学, 体育系, 准教授 (60400660)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | プライオメトリックトレーニング / リバウンドジャンプ指数 / 伸張ー短縮サイクル / プレセット / コーチング / 関節力学量 / 見本 |
研究実績の概要 |
本研究では、プレセット局面中の見本映像観察時の視覚情報の特性を明らかにすることで、プライオメトリックトレーニングにおける下肢筋力・パワー発揮能力の改善を効果的に引き出すための観察方法を提示することを目的とした。本年度は、主に研究課題1であるドロップジャンプのパフォーマンスを即時的に改善する観察方法の究明について取り組んだ。大学運動部に所属する男女アスリート23名を対象に、0.3mからのドロップジャンプを実施する際に、プレセット局面で見本映像を提示する条件と提示しない条件で行わせた。結果として、プレセット局面で見本映像を観察することによって、パフォーマンス変数が改善した対象者とそうでない対象者が存在した。そこで、各々の見本映像観察中の眼球運動の特性を比較すると、いずれの対象者も身体部位周辺を観察している割合が高かったが、パフォーマンス変数を即時的に改善していた対象者群は主に身体の中心部を観察している割合が有意に高かった。これに対し、パフォーマンス変数を即時的に低下した群は主に足部などの身体の限定した部分を観察している割合が有意に高かった。これらの結果から、プレセット局面中の見本映像観察によってパフォーマンスを即時的に高めている対象者とそうでない対象者では映像観察中の観察方法が異なることが示唆された。これに加え、研究課題1の測定が予定よりも早く終了できたため、研究課題2のデータの一部についても収集を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題1の一部結果については、日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会にて発表した。また、同年度内に学会誌への投稿も終えている状況である(1本受理、1本投稿準備中)。また、研究課題2の一部データ(パフォーマンス変数、関節力学量および各対象者の映像観察に関する主観的情報等を研究課題1と同様の対象者で測定)の収集が終了している段階にある。データ分析も終了しているため、2024年度の早い段階で学会誌に投稿予定である。さらに、研究成果の一部は2024年度発刊予定の書籍にて執筆を完了している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、フィールドでパフォーマンス変数や動作をリアルタイムでフィードバックできるシステムを購入したことで、実験室だけでなく、フィールドでの詳細なアセスメントも可能になった。このシステムを活用しつつ、当初2025年度実施予定であった、研究課題3(プレセット局面中の映像観察の介入による即時フィードバックを用いたプライオメトリックトレーニングプログラムと実践)について年度内に取り組む予定である。その際、トレーニングプログラムをまとめる上で必要な情報(研究課題1と2のデータ傾向から、何をどのように見るのかなど)を整理するとともに、トレーニングで用いる映像の種類(見本や自身の映像など)についても検討した上で取り組み始める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に新型コロナウイルスに感染(中等症)した影響もあり、当初予定していた海外での学会発表を取りやめたため、予定よりも旅費の支出が少なかった。また、撮影や分析に必要な機器や海外誌に投稿する際の英文校正に関する費用も予定よりも抑えられた。
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