研究課題/領域番号 |
23K10734
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研究機関 | 仁愛女子短期大学 |
研究代表者 |
内田 雄 仁愛女子短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (00749418)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 重心動揺 / カーネル密度推定 / 子ども |
研究実績の概要 |
本研究では、信頼性のあるデータを取得することが難しい子どもの重心動揺測定においてカーネル密度推定(KDE)を応用した問題解決を試みる。具体的には、検討課題1「KDEを用いた重心動揺評価法の確立」、検討課題2「伝統的な重心動揺変数とKDE範囲の関連および差異の検討」、検討課題3「KDE範囲の信頼性の検討」、検討課題4「子どもにおけるKDE範囲の特性の検討」の4つの検討課題に取り組む。最終的に、KDEを応用した重心動揺評価が子どものバランス能力のどのようの側面を評価できるのかを明らかにし、KDEを用いた子どもの重心動揺評価法を確立を目指す。 2023年度は、検討課題1に重点的に取り組んだ。具体的には、1)中心位置評価としてのKDEの活用可能性を検討した結果、KDEが複数の動揺中心を持つことへの客観的評価として使用できる可能性が示唆された。2)従来から用いられてきた動揺面積を評価する各種変数とKDE面積の関係を検討した結果、95%KDE範囲と外周面積がほぼ同等の面積になるが、約6割の試行で5%以上の面積の差が生じることが観察された。3)KDE面積評価では飛び地が生じることがあり、その飛び地の取り扱いについて検討した結果、95%KDE面積評価によって飛び地が生じた試行であっても、飛び地なしの試行と比較して各種動揺面積に大きな違いはないことが示唆された。などの知見を得ることができた。以上より、2次元KDEを用いた重心動揺評価は動揺面積評価や中心位置評価に有用である可能性が示唆された。ただし、KDE範囲の設定により評価が大きく異なる傾向もあり、継続して2次元KDEを用いた評価法の検討を実施していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた検討課題1「KDEを用いた重心動揺評価法の確立」に重点的に取り組むことができた。若干の課題は残るが、KDEによる重心動揺評価方法の一定の道筋をつけることができたため、2)おおむね順調に進展している。と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、検討課題1に加えて、検討課題2:伝統的な重心動揺変数とKDE範囲の関連および差異の検討(R6~7年度)にも取り組む。現状は一般成人男女の被験者から得られた重心動揺データによって様々な解析方法の検討を実施している。検討課題2では子ども、成人、高齢者、スポーツ競技選手等、様々な属性をもつ被験者を対象としながらKDEを用いた重心動揺評価と従来の評価方法の違いを検討していく。得られたデータと検討課題1の結果を踏まえ、各KDE範囲と重心動揺面積、重心位置変数との差異および関連、また、その他各種重心動揺変数との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存データの解析により本研究課題の順調な進展が見込めたため、データ取得のための旅費や物品費が不要となった。2024年度は、データ取得のためにアルバイトスタッフの雇用や測定機器、その周辺機器の取得などに予算が必要となるため、その充足に次年度使用額を充てる予定である。
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