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2023 年度 実施状況報告書

感覚情報の変化に適応して運動を調節する神経回路基盤と非侵襲脳刺激を用いたその統御

研究課題

研究課題/領域番号 23K10795
研究機関大阪河崎リハビリテーション大学

研究代表者

大篭 友博  大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 講師 (80584755)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード経頭蓋電気刺激 / 脳波 / 姿勢制御
研究実績の概要

本研究では4種類の姿勢制御課題を用いて、重心動揺測定と脳波測定を同時に実施した。具体的には①開眼状態で両脚立位から片脚立位に変化する課題、②閉眼状態で両脚立位から片脚立位に変化する課題、③両脚立位で開眼から閉眼にする課題、④片脚立位で開眼から閉眼にする課題である。重心動揺の周波数解析の結果から、課題①、②、④の様に不安定姿勢に変化することで1-3 Hzの高周波成分の振幅が有意に増大することが明らかになった。一方重心が安定している課題③の場合は、閉眼しても高周波成分の振幅は増大しなかった。脳波解析の結果から、課題①、②、④では共通して前頭葉におけるθ波と頭頂葉におけるγ波の増加が観察された。課題③では先行研究と同様にα波の増加が観察された。さらに閉眼状態で増加するα波は姿勢制御が難化することによって抑制された。特に頭頂葉におけるγ波の増加は前述した重心動揺の高周波成分振幅の増加と有意に正の相関を示し、高い関連性があることが示された。重心動揺の高い周波数成分は感覚入力に伴って足関節の剛性を制御するためのフィードバック機構を反映したものであるとされる。このことから頭頂葉γ波は不安定姿勢における姿勢制御のフィードバックメカニズムに関連した大脳皮質活動であると考えられた。この結果は2024年にPeerJ誌へ掲載された。現在は特に頭頂葉γ波に注目し、本周波数相当の経頭蓋電気刺激を与えた場合に姿勢制御がどのように変化するかを調べている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既に難易度の高い姿勢制御に関わる大脳皮質活動の特定には至っており、論文としても掲載されていることからこの点については良好な進捗が得られている。経頭蓋電気刺激については被験者の既往歴の調査が必要であること、小規模の実験を重ねることで期待した成果が得られるかどうかの小まめな検討が必要であり、若干ペースが鈍化しているが現在も引き続き被験者と実験データの収集を続けており、概ね予定通りに計画は進行していると考える。

今後の研究の推進方策

引き続き経頭蓋電気刺激前後での姿勢制御能力の測定を実施する。

次年度使用額が生じた理由

初年度は姿勢制御の難化に関連した大脳皮質活動の抽出に全力を注いだ。論文掲載までに若干の時間を要したため、経頭蓋電気刺激実験にかかる経費が次年度使用額として生じた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Cortical activity associated with the maintenance of balance during unstable stances2024

    • 著者名/発表者名
      Ue Shoma、Nakahama Kakeru、Hayashi Junpei、Ohgomori Tomohiro
    • 雑誌名

      PeerJ

      巻: 12 ページ: e17313~e17313

    • DOI

      10.7717/peerj.17313

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 注意対象の切り替えに関わる神経回路基盤2024

    • 著者名/発表者名
      大篭友博
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] 姿勢変化後の意識的な重心動揺制御に関わる大脳皮質活動2023

    • 著者名/発表者名
      上翔馬、中濱翔、林純平、大篭友博
    • 学会等名
      第46回日本神経科学学会

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公開日: 2024-12-25  

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