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2023 年度 実施状況報告書

山椒香気成分による痛覚過敏緩和効果: 嗅覚神経系と疼痛緩和調節系との接点解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K10805
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

井原 勇人  和歌山県立医科大学, 共同利用施設, 准教授 (00223298)

研究分担者 廣野 守俊  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30318836)
井辺 弘樹  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードサンショウアロマ成分 / 痛覚過敏緩和効果 / 水蒸気蒸留法
研究実績の概要

アロマセラピーに代表されるように、嗅覚刺激によって生体機能の変化を来すことが知られている。申請者らは、最近予備的実験により慢性拘束ストレス誘導性痛覚過敏の緩和効果があることを明らかにした。
本年度は、予備的検討で示した疼痛緩和効果について詳細な検討を行うと伴に、サンショウアロマ成分を水蒸気蒸留法にて抽出し、その成分解析をおこなった。
1)慢性拘束ストレスマウスモデルを1日6時間、10日間の慢性拘束ストレスを負荷し作成した。このモデルマウスは痛覚過敏状態がその後60日以上続くモデルである。痛覚過敏状態のマウスにvon Freyテストによって、マウス下肢の機械的感覚閾値(Threshold(g))を測定した。痛覚反射で足を払う際のフィラメントの値(g)を測定し、下肢への機械刺激に対する痛覚反応の評価を行った。その後、嗅覚刺激のないコントロール群は、28日間経ってもvon Freyテストによる機械的感覚刺激閾値が回復しないのに対し、サンショウアロマ吸入群では、優位に機械的感覚閾値が上昇し、慢性ストレスによる痛覚過敏が緩和された。
2)種ぬき乾燥ブドウサンショウを原料とし、水蒸気蒸留法にてサンショウ精油成分を抽出した。これらの精油をアセトンで50倍希釈して、サンプルとし、ガスクロマトグラフィーでアロマ成分を分析した。その結果、揮発成分としてリモネン(19%)、酢酸ゲラニル(49%)、β-フェランドレン(11%)、シトロネラ―ル(5%)、ゲラニオール(4%)等が含まれていることが分かった。これらのアロマ成分のうち、どの成分が疼痛緩和に寄与するかを今後調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サンショウアロマ成分は同定できたものの、各単一成分を分離することは困難であると考えられる。次年度では、どの成分が疼痛緩和効果に寄与しているかを同定する予定であるが、上記の理由でむづかしいかもしれない。

今後の研究の推進方策

単一成分調整の困難性はあるものの、化学合成法や専門の業者に合成を委託することも検討したい。
脳内で起こっている嗅覚刺激伝導系と下行性疼痛抑制系の接点である神経核を抽出し、サンショウアロマ成分によって、どの様な遺伝子発現の変化があるかを、GeneChip解析等で明らかにしたい。疼痛緩和効果に伴い変動する遺伝子、痛み関連の遺伝子群などを中心に解析したい。

次年度使用額が生じた理由

初年度は、サンショウアロマ精油成分のガスクロマトグラフィーによる解析と、サンショウアロマ(混合物)による疼痛緩和効果を詳細に検討する内容でああったため、経費がかからなかった。
比較的金銭的単価が高いと思われる単一成分の受託化学合成や、GeneChipによる遺伝子発現の網羅的解析は、次年度実施とするため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Mu opioid receptor expressing neurons in the rostral ventromedial medulla are the source of mechanical hypersensitivity induced by repeated restraint stress2023

    • 著者名/発表者名
      Imbe Hiroki、Ihara Hayato
    • 雑誌名

      Brain Research

      巻: 1815 ページ: 148465~148465

    • DOI

      10.1016/j.brainres.2023.148465

    • 査読あり
  • [学会発表] Voluntary wheel running alleviates and prevents mechanical hypersensitivity induced by vertical chronic restraint stress(垂直型慢性拘束ス トレスによる痛覚過敏の自発運動による緩和と予防)2023

    • 著者名/発表者名
      廣野守俊、井原勇人、上勝也、中田正範、井辺弘樹
    • 学会等名
      日本薬理学会
  • [学会発表] Voluntary wheel running both alleviates and prevents mechanical hypersensitivity induced by vertical chronic restraint stress, and increases pCREB expression in the RVM2023

    • 著者名/発表者名
      井辺弘樹、井原勇人、上勝也、中田正範、廣野守俊
    • 学会等名
      神経科学会
  • [産業財産権] 特許「熱産生タンパク質発現促進剤」2023

    • 発明者名
      門脇昭夫、水崎愛、我藤伸樹、井原勇人、中谷雅弓
    • 権利者名
      中野BC株式会社、和歌山県立医科大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特許第7298841

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公開日: 2024-12-25  

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