研究課題
食事療法に関しての研究を行うための基礎データを取得する目的で、我々は1型糖尿病患者のコホートを作成した。東京都の順天堂大学と、静岡県のあそうクリニックに継続的に通院し、インスリンを使用している成人1型糖尿病患者352名からなるコホートで、彼らから縦断的な臨床データと、生活習慣とQOLに関する7つの質問票への回答を取得している。このコホート研究の主要アウトカムは、(1)糖尿病における問題領域(PAID)スコアと、疫学的データ、臨床的特徴、病歴、生活習慣、治療歴、生化学的データ、他質問票スコアなどの諸要因との関係、(2)Beck Depression Inventory(BDI)-IIスコアと前述の諸要因との関係である。副次的アウトカムは、前述の諸要因と以下の各要因との関係である: (1)血糖コントロール、(2)血中脂質コントロール、(3)食事パターン、(4)低血糖の恐れ、(5)睡眠パターン、(6)身体活動。このコホートで5年間の経過観察を行う予定であるが、この基礎データをもとに、1型糖尿病患者のための個別化医療を実現する食事療法を考える。今回の期間の研究実績は、このコホート研究のプロトコール論文をDiabetes Therapyに投稿、アクセプトされたことである( 2024 Apr;15(4):883-892. doi: 10.1007/s13300-024-01539-0. Epub 2024 Feb 15)。
2: おおむね順調に進展している
1型コホートの研究は順調に進行し、あと1-2年で5年間の経過観察も終了する予定である。このコホートで集められた様々なデータ、特に食事パターンを中心とするデータをもとに1型糖尿病患者の血糖コントロールとQOLに有用な食事療法を考える。現在基礎データが集まりつつあり、今年中には1型糖尿病患者の食事療法の実際について論文化し、その結果をもとに、ランダム化研究などを組み立てる予定である。
①基礎データ構築のための1型コホートの研究に関しては、臨床データ(イベントとその転帰、生化学的データ、治療方法の変更など)を1年毎に継続取得する。また開始時と5年目に予定していた、生活習慣とQOLに関する7つの質問票の配布準備を行う。②これまでの研究で見えてきた個別化両方を実現するために理想的な食事療法の内容を明らかにし、その有用性を照明するためにアプリ等も用いたランダム化研究などを検討する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Diabetes Therapy
巻: 15 ページ: 883~892
10.1007/s13300-024-01539-0