研究課題/領域番号 |
23K10827
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
千葉 陽一 香川大学, 医学部, 准教授 (30372113)
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研究分担者 |
古川 絢子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (10455537)
上野 正樹 香川大学, 医学部, 教授 (30322267)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 神経変性 / グリア / 細胞老化 / グルタミン代謝 |
研究実績の概要 |
マウス初代グリア細胞の細胞老化におけるglutaminolysisの重要性と神経変性病態における意義を明らかにすることを目的に、2023年度は以下の2点につき実験を行った。 1.高純度に単離したマウス初代アストロサイトに、Nutlin-3a (MDM2阻害/p53活性化)、doxorubicin (DNA damage)、tert-Butyl Hydroperoxide (oxidative stress)を負荷し、細胞老化の誘導効率をSenescence-associated beta Galactosidase (SA-β-Gal)陽性率を指標にスクリーニングしたところ、Nutlin-3aとdoxorubicinが同程度(約80%)の細胞老化誘導効率を示した。t-Butyl hydroperoxide処理は過酸化水素処理と同程度(約35%)の細胞老化誘導効率であり、今後はNutlin-3aとdoxorubicin負荷を細胞老化誘導の実験系として用いることとした。また、播種する細胞密度によっては、コントロール群でもSA-β-Gal陽性細胞が細胞老化と無関係に一定頻度(約30%)出ることがあり(density-induced SA-β-Gal staining)、これを回避するため初期の播種密度をある程度下げる必要があることが明らかになった。 2,マウス新生仔からの高純度・高収量のミクログリア培養系を確立するため、初代混合グリア培養をmild trypsinization法(Saura et al., Glia 2003)で処理し、培養ディッシュ底面に残存したミクログリアを回収、再播種して収量と純度を解析した。従来のshaking法に比べ収量は改善したが、単離後トリプシンで回収する際のcell lossが問題となることが明らかになった。純度はIba-1免疫染色で評価したところ95%以上と、十分な純度のミクログリアが得られることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は予備実験後、glutaminaseの発現変化を中心に、グルタミン代謝に関連する蛋白質の発現変化を網羅的に解析するためのサンプルを得る段階まで進む予定であったが、プロトコル上で修正の必要な点が明らかになり、その対応に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
実験条件は概ね2023年度で定まったので、2024年度以降は順次培養細胞からのサンプリングを進め、グリア系細胞の細胞老化に伴うグルタミン代謝系の変化を明らかにするとともに、glutaminase阻害剤の老化グリア細胞に対する効果、グリア細胞におけるグルタミン酸代謝亢進による神経変性メカニズムの解明に向けた実験を進めていく予定である。
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