研究課題/領域番号 |
23K10832
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
鍛島 秀明 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (40714746)
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研究分担者 |
福場 良之 広島国際大学, 健康スポーツ学部, 教授 (00165309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 朝食欠食 / 血管内皮機能 / グルコース / インスリン / 遊離脂肪酸 / トリグリセリド / 食事リズム / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
健康な若年成人6名(女性4名,男性2名)を対象に、8日間の朝食欠食が上腕動脈血管内皮機能および糖・脂質プロフィールに与える影響を検討した。被験者は、合計2回の実験プロトコールにランダムな順序で参加した。実験の前日(0日目)、被験者は朝食、昼食、夕食を規定の時刻に摂取した。朝食摂取条件では、実験1日目から9日目まで3食同じ時刻に摂取した。朝食欠食条件では、実験1日目から8日目まで昼食と夕食の2食を摂取し、実験最終日の9日目に朝食、昼食、夕食の3食を摂取した。朝食欠食分の食事は、昼食と夕食に均等配分した。つまり、両条件で摂取した食事量と内容は同じであった。実験期間中、実験室での計測日は、実験1、2、5、8、9日の合計5日とし、午前8時に右上腕動脈を対象に、血管内皮機能を血流依存性血管拡張法(Flow Mediated Dilation, FMD法)を用いて測定・評価した。朝食摂取の直前および摂取30分後、昼食の摂取直前、摂取30分後および180分後に、被験者の左手の指先から微量の血液を採取し、血中グルコース濃度(BG)、血漿インスリン濃度(PI)、血漿遊離脂肪酸濃度(FFA)、血漿トリグリセリド濃度(TG)を測定した。【結果】上腕動脈の血管内皮機能は、摂取条件が実験9日目に改善傾向を示し、欠食条件では8、9日目に低下傾向を示した。昼食摂取後のBGおよびPIは、欠食条件が実験1日目のみ摂取条件に比べて高かった。実験9日目の空腹時のBGおよびTGは、欠食条件が摂取条件に比べて高く、朝食摂取後のBGおよび昼食摂取後のTGは、欠食条件が摂取条件に比べて高かった。8日間の朝食欠食は、早朝の血管内皮機能を低下させ、この機能低下には糖・脂質プロフィールの変化が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、10名の被験者を対象に実験を行う予定であったが、結果的には6名の実施に終わった。本実験では、1試行につき、10日間の食事内容と摂取時刻を規定する必要があるため、被験者との実験スケジュールの調整が困難であったことが遅延の主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に実施できなかった4名分の被験者を追加し、1つ目の実験を完遂させる。さらに、次の実験に向けて10名の被験者を募集し、1日毎に朝食の摂取と欠食を繰り返す、朝食の「不規則摂取条件」と「朝食摂取条件」を比較する実験を実施・完了させる予定である。令和5年度に実施した実験では、8日間の朝食欠食により早朝の血管内皮機能が一貫して低下する傾向であった。全ての実験が完了しているわけではないが、そのメカニズムを追求するために、早朝空腹時の血液分析の項目(LDL-コレステロールなど)をさらに加える計画を立てている。令和5-6年度までの研究成果をベースに、令和7年度に論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した実験試行数が少なかった。したがって、被験者へ支払う謝金の支出が少なかった。今年度は、前年度に実施できなかった実験を完遂させると共に、予定の実験を完遂させる予定。また、論文執筆に必要な英文校正費も支出しなかったので、実験データがそろい次第、論文執筆に係る費用として支出する予定である。
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