• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

食塩過剰摂取による食物アレルギー症状の誘発・増悪機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K10838
研究機関中部大学

研究代表者

田中 守  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (00612350)

研究分担者 武井 史郎  中部大学, 応用生物学部, 講師 (60398576)
呂 鋭  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (80381862)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード食物アレルギー / 食塩 / マウス / 腸管バリア機能 / ヘルパーT細胞
研究実績の概要

2023年度の研究実施計画として,食塩過剰摂取による食物アレルギー症状への影響を明らかにすることを目的とした。5週齢のBALB/cマウス雌をControl/AIN-93G(CA)、Control/NaCl(CN)、Sensitization/AIN-93G(SA)、Sensitization/NaCl(SN)の4群に分け、CAとSAにはAIN-93G食と水を、CNとSNには4%のNaClを含むAIN-93G食と1%NaCl水を自由摂取させた。実験開始7、21日目に卵白アルブミン(OVA)を含む水酸化アルムを腹腔内投与し、OVA感作マウスを作製した。25-28日目にはマウスの糞を採取した。28日目にはOVAを胃内投与し、投与30分後にアナフィラキシー症状の指標として直腸温の測定、門脈血、脾臓リンパ球の採取を行った。結果、直腸温では、SN群において、その他3つの群と比較して有意に低下した。OVA特異IgEでは血清、脾臓リンパ球培養上清どちらもSN群において、その他の群と比較して、有意な上昇もしくは上昇傾向が認められた。IL-4、IL-10、IFN-γでは、SA群においてその他の群と比較して有意に増加を示した。TNF-αでは感作群において、非感作群と比較して有意な上昇を示した。食塩摂取により、糞中総IgAでは有意な低下が認められた。糞中ムチンでは、CN群において、CA群、SA群と比較して有意な低下を示した。小腸のHE染色では空腸・回腸ともに食塩摂取による差は認められなかった。以上のことから、食塩の過剰摂取は、マウスのアナフィラキシー症状の誘発・増悪を引き起こし、IgEの産生亢進、サイトカイン産生低下、腸管におけるIgA産生低下による免疫機能の低下が明らかとなった。また、HE染色だけでは食塩による小腸粘膜上皮組織の損傷は認められないことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究はおおむね順調に進行している。今後は1年目で明らかとなった免疫機能低下のさらなる解明のため、ヘルパーT細胞への影響、より詳細な消化管のバリア機能に及ぼす影響、アレルゲンの体内動態について明らかにしていく必要がある。

今後の研究の推進方策

1年目は、食塩の過剰摂取がマウスのアナフィラキシー症状の誘発・増悪を引き起こし、IgEの産生亢進、サイトカイン産生低下、腸管におけるIgA産生低下による免疫機能の低下が明らかとなった。一方、予想に反して小腸粘膜上皮組織の損傷は認められないことが明らかとなった。2年目は、免疫機能低下のさらなる解明のため、ヘルパーT細胞への影響を腸間膜リンパ節のT細胞関サイトカイン、ムチン、マスト細胞や好酸球の組織解析により明らかにする。より詳細な消化管のバリア機能に及ぼす影響をアレルゲン吸収が活発な小腸の空腸部分の消化管のバリア機能を制御するタイトジャンクション関連遺伝子発現タンパク質発現及び免疫染色を行う。加えて、腸内細菌叢の解析およびアレルゲンの体内動態について明らかにしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度の実験が効率よく進んだ結果、物品費が予定よりも少額となったため。
2023年度の余った残金については、2024年度の研究をより良くするために試薬等の消耗品代に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの症状増悪に及ぼす食塩の影響2023

    • 著者名/発表者名
      太田 鈴,渡邉 彩乃,佐藤 真理奈,髙阪 理名,横山さや香,恋田彩加,香西はな,田中 守
    • 学会等名
      第70回日本栄養改善学会学術総会
  • [学会発表] 食物アレルギーモデルマウスにおけるアレルゲンの体内動態および消化管に及ぼす食塩の影響2023

    • 著者名/発表者名
      草野翔紀, 佐藤真理奈, 太田鈴乃, 髙阪理名, 香西はな, 田中 守
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi