研究課題/領域番号 |
23K10840
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
佐久間 覚 大阪医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (80201523)
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研究分担者 |
奥平 桂一郎 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10425671)
藤嶽 美穂代 大阪医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50368180)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 血液脳関門 / 密着結合 / メチルグリオキサール / 終末糖化生成物 / L-テアニン |
研究実績の概要 |
蛍光免疫染色-共焦点蛍光顕微鏡観察において、ヒト由来脳毛細血管内皮細胞の無処置群では、密着結合タンパク質の1つであるClaudin-5が細胞間隙に発現していること、メチルグリオキサール(1 mM)は細胞間隙のClaudin-5発現量を約40%減少させることが示された。また、メチルグリオキサール(1 mM)によるClaudin-5の減少作用は、L-テアニン(5 mM)を同時あるいは24時間前投与することにより消失し、その値はほぼコントロールレベルにまで回復させた。さらに、L-テアニンの分解産物であるグルタミン酸(5 mM)は、メチルグリオキサールによるClaudin-5の減少作用を部分的に解除した。一方、メチルグリオキサール(1 mM)は、ヒト脳毛細血管内皮細胞の活性酸素種産生を4時間前後をピークとして有意に増加させ、L-テアニンは、それを完全に阻止した。これらの結果より、メチルグリオキサールがClaudin-5の発現を抑制することにより密着結合を傷害すること、L-テアニンを前処理した場合にメチルグリオキサールによる密着結合傷害を予防すること、L-テアニンの作用には、体内代謝で派生するグルタミン酸が一部関与していること、さらにメチルグリオキサール傷害及びメチルグリオキサールによるL-テアニンの予防メカニズムに活性酸素種が一部関与することが推測された。メチルグリオキサールなどの終末糖化生成物受容体であるRAGE(receptor for AGEs)の関与について、RAGE阻害剤を用いて現在検証しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞レベルの実験の検証をほぼ終了し、現在、糖尿病誘発-MCAO(middle cerebral artery occlusion;中大脳動脈閉塞)モデルマウスを作成し、脳血管内皮細胞傷害の有無や程度を検討している。また、メチルグリオキサールならびにL-テアニンの血中や脳内レベルの評価系をHPLC-MSにより確立すべく共同研究者ととも研究計画を立案した。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病誘発-MCAOによる脳血管内皮細胞傷害の動物モデルにおけるMGとL-テアニンの影響をさまざまな測定系を用いて形態学的、形質学的に評価・検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液脳関門傷害モデルマウスの作成と検証を進めている最中であり、マウス、試薬や器具の購入が次年度にずれてしまった。
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