研究課題/領域番号 |
23K10862
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
古賀 貴之 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (80733279)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | SBP1 / NAFLD |
研究実績の概要 |
本研究では、脂質代謝への寄与が不明であるタンパク質 Selenium binding protein 1(SBP1)について、非アルコール性脂肪肝(Non Alcoholic Fatty Liver Disease;NAFLD)の発症/進行への関与の解明を目指している。SBP1はがん関連遺伝子とされるタンパク質であるが、その他の生体機能、特に脂質代謝への寄与については解明すべき点が多く残されている。そのため、NAFLDなど脂質代謝異常が関与する疾患へのSBP1の寄与も明らかにされていない。本研究では、SBP1 を基盤としたNAFLD発症/進行制御の分子機構の解明を目指す。現在までに、SBP1欠損は高脂肪食摂取による脂肪肝を抑制する、すなわちSBP1は高脂肪食誘導性脂肪肝を促進することを見出している。 そこで、当該年度では他の誘因による脂肪肝へのSBP1の影響の観察を行った。NAFLDの誘因には、脂質の過剰摂取と同様に、糖質の過剰摂取が発症原因の割合の多くを占める。そこで本研究では果糖過剰摂取による脂肪肝について検証を行った。果糖による脂肪肝へのSBP1の影響には投与形態による相違があり、果糖の飲水投与による脂肪肝においてはSBP1欠損により脂肪肝が有意に悪化した。一方、高果糖食を用いた食餌誘導性脂肪肝ではSBP1欠損による脂肪肝の悪化は観察されなかった。これらの結果より、SBP1欠損によるNAFLDへの影響は、その誘因や誘因の摂取経路に起因することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、動物実験を通じて、SBP1欠損によるNAFLDへの影響はその誘因や誘因の摂取経路に起因する差異があることが示唆されている。さらに、その差異の機構解明を目指し、肝臓におけるSBP1の寄与について検証を目的とし、SBP1発現量を調節した培養細胞を用いた検証を計画していた。しかし、用いた培養細胞のSBP1基礎発現量が極端に少なくSBP1ノックダウンの影響が軽微であったこと、また過剰発現に用いるトランスフェクション効率が低かったことから、その機構の解明には至っていない。そこで現在はマウスより単離した肝初代培養系を用いて検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、動物実験を通じて、SBP1欠損によるNAFLDへの影響はその誘因や誘因の摂取経路に起因する差異があることが示唆されている。さらに、その差異の機構解明を目指し、肝臓におけるSBP1の寄与について検証を目的とし、SBP1発現量を調節した培養細胞を用いた検証を計画していた。しかし、用いた培養細胞のSBP1基礎発現量が極端に少なくSBP1ノックダウンの影響が軽微であったこと、また過剰発現に用いるトランスフェクション効率が低かったことから、その機構の解明には至っていない。そこで現在はマウスより単離した肝初代培養系を用いて検証を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
SBP1発現量を調節した培養細胞を用いた検証において、用いた培養細胞のSBP1基礎発現量が極端に少なくSBP1ノックダウンの影響が軽微であったことなどにより、使用細胞種の変更が生じた。そのため、解析が滞り、その分の費用について次年度使用額が生じた。必要経費として計上した予算の全てを動物実験ならびに初代培養系を用いた培養細胞実験に係る消耗品費として使用する予定である。
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