研究課題/領域番号 |
23K10882
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
米井 嘉一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40191655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症 / Aβクリアランス / ミクログリア / 貪食能 / 脳腸連関(brain-gut axis) / 細胞外小胞 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
【平成5年度の成果】 ①試薬としてのAβ(1-42)は動物種、合成方法により溶解性、重合性、反応性といった化学特性が異なることが知られている。TAMRA標識Aβ(1-42)についてAK13A(Cosmo-Bio)とAnaspec社製を比較した。アミノ酸配列:AK13Aでは5(6)-TAMRA-(X)DAEFGHDSGFEVRHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA、Anaspec製品では5-TAMRA-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIAであった。その違いは(X)に該当する保護基PEG (polyethylene glycol)であった。貴重なデータとして本年度に論文として報告する予定である。 ②脂質が豊富な脳内では脂肪酸の酸化によって生じるmethylglyoxal (MGO)やacroleinはAβやタウ蛋白の糖化の原因として注目されている。AβとMGOを反応させるとカルボニル化を経て、さらには終末糖化産物(AGEs)を生成する。この過程でAβ吸光スペクトル特性がどのように変化するかを検討した。その結果、MGOとAβとの反応に特定の励起・検出波長で特異的なスパイク状波形が検出され、濃度依存性であることが確認され、方法の差異的条件を求めた。またArgpyrimidine構造を有することが確認された。本成果を利用することでMGOによるAβ糖化反応の進行具合を簡便かつ正確に評価することが可能となる。Aβをターゲント蛋白としたAGEs生成抑制作用物質の探索にも有用と期待できる。本成果についても本年度に論文発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去の検討で用いていたTAMRA標識amyloidβ(1-42):AK13A(Cosmo-Bio)が製造中止で在庫が尽きたため、実験モデルの変更を余儀なくされ、はじめに他社製品(Anaspec)を試みたが、難溶解性(溶解率10%未満)で、糖化反応後の異常反応(AGE生成が確認できず)があり、 初代培養ミクログリアによりほとんど貪食されなかった(難貪食性)ため、使用を断念した。原因を究明したところPEGスペーサーが必要であることが確認された。PEGスペーサーを含む製品は他に存在しないため、やむをえずTAMRA-Aβ新規合成、精製を行った。しかし、初代培養ミクログリアによる貪食能は低く、ばらつきが大きかった。最終的にAβとの相性が良く貪食能が安定していた合成ミクログリア継代培養株BV-2(Cosmo-Bio)を使用することに決定した。上述の理由で実験計画が約8か月遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度にミクログリア由来BV-2細胞株のMouse Amyloid-β(Aβ)貪食モデルを用いてEVによる貪食能修飾効果の検討を予定通り行う。実験モデルは確立できた。実験群構成は以下の通り:1:Negative Control Control(0.3% DMSO 添加)群、2:Amyloid β のみ添加群、3:乳酸菌由来EV、4:酵母由来EV、5:大腸菌由来EVとする。EV候補は3:乳酸菌由来(Bacillus coagulans lilac- 01株、Leuconostoc mesenteroides 180720-12-1 株、Lactobacillus paracasei 180913-R1 株、Bacillus coagulans lilac - 01株)、4:酵母由来(Hanseniaspora vineae 181019Y5-2 株、Kloeckera apiculata 180926-3 株、Saccharomyces cerevisiae 1611-4 株、Saccharomyces paradoxus 181211-12 株)、5:大腸菌由来(Extracellular Vesicles derived from Escherichia coli DH5α)から選択する予定である。本実験により「EVはミクログリアによるAβ貪食を修飾するか否か」が明らかになり、脳腸連関の観点から貴重な情報が得られると期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況に理由を記載した通り、当年度予定していたミクログリアAβ貪食能評価モデルの作成に遅れが出たため、それに係る費用と人件費・謝金などの支出がなかった。次年度はその分も含めて遅れを取り戻すべく研究を進める予定にしている。
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