研究課題/領域番号 |
23K10883
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 照佳 近畿大学, 農学部, 講師 (10811664)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | C-グリコシド型イソフラボン / プエラリン / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
C-グリコシド型イソフラボン・プエラリンはクズ (葛、Pueraria lobata)に含有する主要なイソフラボンである。申請者らは、クズ蔓抽出物は破骨細胞の分化を抑制し、骨粗鬆症を予防することを報告したが、詳細な作用機構は不明である。そこで、その作用機構の解明を目的に培養細胞(RAW264.7)を用いて、プエラリンによる破骨細胞の分化抑制効果の作用機構の解明を試みた。次世代シーケンサーを用い、RNA-Seqによりプエラリンを添加した破骨細胞において発現変動する遺伝子を網羅的に解析した結果、アポリポタンパク質等の脂質代謝関連の遺伝子発現に変動がみられた。 一方、プエラリンのRAW264.7細胞への蓄積量をHPLCにて定量した。その結果、プエラリンは時間依存的に前破骨細胞に蓄積した。また、プエラリン摂取マウスのマウス大腿骨を摘出し、LC-MSを用いてプエラリンの検出を試みた結果、プエラリンを摂取したマウスでインタクトなプエラリンが検出された。さらに、クズに含有する他のイソフラボンと破骨細胞分化抑制効果を比較した結果、その作用は他のイソフラボンより若干弱いものの細胞毒性が低いことが明らかとなった。したがって、プエラリンはインタクトな形態でマウス大腿骨破骨細胞に移行し、安全に破骨細胞分化抑制作用を発揮することが示唆された。 これらのデータは、クズ蔓抽出物の破骨細胞分化抑制効果の作用機構解明のための重要な知見になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞を用いたプエラリンの添加実験で、RNA-Seqによりいくつかの遺伝子変動が認められ、今後の研究につながると考えられる。また、プエラリンの大腿骨破骨細胞への蓄積や他のクズイソフラボンとの活性比較については論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究でプエラリンをRAW264.7細胞に添加して、発現変動のあった遺伝子について詳細な研究を進めていく。また、プエラリンの糖代謝改善作用の作用機構の解明も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイト雇用していた方の3月分の給与の振り込みが4月となるため
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