研究課題/領域番号 |
23K10892
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
乗鞍 敏夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (40468111)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アミノ酸 / ケト酸 / 筋芽細胞 / メタボローム解析 |
研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)の食事療法では、たんぱく質(アミノ酸)の摂取制限が推奨されている。一方、サルコペニア(SP)の食事療法では、たんぱく質(アミノ酸)の積極的な摂取が推奨されている。慢性腎臓病とサルコペニアの合併症(CKD-SP)は、高齢者において高頻度でみられるが、それぞれの食事療法(たんぱく質の摂取制限or 積極的な摂取)が適用できない。一方、ケト酸(窒素を含まないアミノ酸の代謝物)は、アミノ酸と相互変換(アミノ基転移反応)するため安全性が高く、CKDにおいて体内に蓄積しやすい尿素や尿毒素(窒素を含む老廃物)を生じさせないことが特徴である。 筋芽細胞にインドキシル硫酸(代表的な尿毒素)を添加すると、筋芽細胞の筋管細胞への分化が阻害され、ミトコンドリア生合成が低下した(CKD-SPモデル)。ウルソル酸は、インドキシル硫酸が誘導するこれらの阻害を抑制することを明らかにした(このモデルを阻害するケト酸を見出すことはできなかった)。 グリオキシル酸(グリシンのケト酸代謝物)は、マウス由来の筋芽細胞(L6細胞)において、グリシンに変換された後、さまざまなアミノ酸へと代謝されることを明らかにした。グリオキシル酸は、デキサメサゾンが誘導する筋萎縮を阻害した。さらに、グリオキシル酸は筋芽細胞から筋管細胞への分化を促進することで、ミトコンドリアの生合成を促進することを明らかにした。 ある種類のケト酸(以下はケト酸X)は、マウス由来の筋芽細胞(L6細胞)の分化およびミトコンドリアの生合成を促進することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニング評価の結果、期待する生理作用を有するケト酸を同定することができたため、概ね研究計画の通りに研究が遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
ケト酸の筋芽細胞のエネルギー代謝(解糖系、アミノ酸代謝、クエン酸回路)に及ぼす影響を検討している。現在は別の栄養素とケト酸との組み合わせによる相乗効果も明らかにしており、その作用メカニズムの解明についても現在検討をすすめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金0へ調整する必要がないため
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