研究課題/領域番号 |
23K10896
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
青柳 共太 杏林大学, 医学部, 准教授 (50453527)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 糖尿病 / ミトコンドリア / マイトファジー |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア品質管理の破綻と糖尿病の関係について明らかにするために、新規糖尿病薬であるイメグリミンが膵β細胞のミトコンドリア品質管理に与える影響について検討を行った。 糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスにイメグリミン、イメグリミンと類似構造を持つ糖尿病薬であるメトホルミンをそれぞれ6週間投与した後、膵β細胞におけるミトコンドリア品質管理状態および膵β細胞機能について解析を行った。 イメグリミンやメトホルミンで処理することにより、db/dbマウスの耐糖能およびインスリン感受性は改善された。血中インスリン量はイメグリミン処理で増大したのに対し、メトホルミン処理では変化が認められなかった。db/dbマウス膵β細胞では機能不全となった不良ミトコンドリアが蓄積することで、ROS産生量が増大しており、ミトコンドリア品質管理状態が悪化していることを見いだした。イメグリミン処理はdb/dbマウス膵β細胞における不良ミトコンドリアの蓄積量を減少させ、ROS産生を抑制した。また、不良ミトコンドリアの蓄積量の減少に伴い、不良ミトコンドリアを分解するマイトファジーの活性も低下した。一方、メトホルミン処理ではミトコンドリア品質管理状態の改善は認められなかった。さらに、イメグリミン処理したdb/dbマウスの膵島ではインスリン分泌が回復し、膵β細胞死も抑制されたが、メトホルミン処理したdb/dbマウスの膵島ではインスリン分泌の回復および膵β細胞死の抑制は観察されなかった。 以上の結果から、イメグリミンは膵β細胞におけるミトコンドリア品質管理状態を改善することで膵β細胞機能を回復させ、血糖コントロールを改善することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
db/dbマウスへのイメグリミン投薬実験により、膵β細胞におけるミトコンドリア品質管理状態の改善と糖尿病の病態との関連を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
膵β細胞におけるマイトファジー関連分子のノックアウトマウスを用いた解析を行うことで、ミトコンドリア品質管理の破綻が糖尿病発症に与える影響について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆に専念するために学会参加を取りやめたため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は来年度の消耗品購入費用に充当する予定である。
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