研究課題/領域番号 |
23K10942
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
金指 美帆 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (10734527)
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研究分担者 |
田中 雅侑 岡山医療専門職大学, 健康科学部 理学療法学科, 助教 (10780497)
津森 登志子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30217377)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 爪郭部毛細血管 / 糖尿病 / サルコペニア / 骨格筋 / 毛細血管 / 血管障害 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
本研究では、糖尿病動物を用いて、爪郭部毛細血管形態を指標とする糖尿病性サルコペニアのバイオマーカーの開発を目指す。本研究の目的は、筋毛細血管退行および筋萎縮と、爪郭部毛細血管形態との関連性を検証し、筋萎縮・筋力低下の発生や重症度を示す爪郭部毛細血管の所見を明らかにすることである。 2023年度は、非糖尿病(SDラット)および糖尿病モデル(SDTラット)を用いて、2週間毎に糖尿病の進行過程における爪郭部毛細血管(Nailfold capillary: NFC)の変化様相と、糖尿病発症前後の骨格筋量・機能、骨格筋内の毛細血管形態変化を縦断的に検証した。 <筋サンプルの解析結果>8週間経過時点において、糖負荷試験の結果、糖尿病群で耐糖能異常を認め、骨格筋毛細血管の退行を認めた。一方で、速筋および遅筋ともに筋萎縮は認めなかった。糖尿病発症後、高血糖曝露期間の延長により18週間経過群で骨格筋の毛細血管退行および糖尿病性の筋萎縮を認めた。 <NFC形態>8週間経過時点の糖尿病群において毛細血管退行所見を認めた。以降、糖尿病の発症・進行に伴い血管径の狭小化および血管数の減少の進行を認めた。 以上より、筋萎縮に先行して骨格筋の毛細血管障害が生じること、そして、筋の萎縮や機能不全が進行する前に非侵襲的に爪郭部毛細血管形態に異常所見を観察可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた初年度研究計画である、糖尿病モデル動物を用いたNFCと骨格筋の経時的変化の検証は計画通りに達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、動物実験で得られた結果から、筋毛細血管退行・筋力低下・筋萎縮の有無や進行度に応じたNFCの所見を特定・分類し、NFC所見と骨格筋の状態の関連性に関する基盤データを構築する。また、筋萎縮を呈する前段階における毛細血管退行の分子メカニズムについて、リアルタイムPCR法およびウエスタンブロッティング法を用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に購入を予定していた各種抗体およびELISAキットなどの解析試薬を、次年度購入予定へと変更したため、相当額が次年度へと繰り越しとなった。
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