研究実績の概要 |
2023年度は、基盤研究(C) 20K11752 「構文解析を用いたテキストベースコード補完」の助成を受けて全南大学校のKwanghoon Choi教授とともに2022年度に投稿した論文がScience of Computer Programmingという国際論文誌に採録され、2023年6月に掲載された(Volume 228)。これは国際会議ACM Partial Evaluation and Program Manipulation(PEPM 2021)で発表を行ったLR構文解析に基づく構文補完方式をもとに、Haskell、C、Small Basic、PolyRPC等の言語に適用し、simple candidate, nested candidate, extended simple candidate等、いくつかの補完候補についてそれらを計算するアルゴリズムを考案したものである。この補完方式をもとに、既存のソースコードを事前に処理し、構文解析器の各内部状態におけるactionの頻度情報を計算しておいて、それを補完時に用いる構文補完方式を考案して国際会議The 39th ACM SIGAPP Symposium on Applied Computing (SAC 2024)に投稿し、採録された。従来、エディタ上でのソースコードの編集時に用いられる補完では、識別子の補完においては候補提示順序が考慮される方式が少ないながらもあったが、構文の補完においては候補提示順序が考慮されていなかった。本研究で提案した方式は、この問題を解決するものである。この方式を実装し、合計789,023行の3,701個のSmallBasicのプログラムと合計308,599行の412個のC11のプログラムを対象に実験したところ、順位の高い補完候補は既存のソースコードと合致する場合が多く、かつ、既存のソースコード内における構文は補完候補の上位10番以内に96%以上入っていた。
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