研究課題/領域番号 |
23K11135
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
塩谷 隆二 東洋大学, 総合情報学部, 教授 (70282689)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CAEシステム / 並列計算 / 有限要素法 / スーパーコンピューティング / ネットワークコンピューティング |
研究実績の概要 |
今年度当初の目標は,開発システムで採用している階層型領域分割法における階層間データの転送量と,大規模実用問題の解析精度を制御可能とするシステムの開発である.これらの準備として,ベンチマークコード群の開発を行った.開発システムでは非構造格子を用いた有限要素解析と領域分割法を用いた並列計算が特徴であり,C言語,MPI,OpenMPで開発されている.計算カーネルとなる部分領域ソルバーの実装には,ローカルSchurコンプリメントアプローチ部分に関し,スカラー機向けミニアプリの実装を行い,部分領域に関する剛性行列をスカイライン形式の代わりにLSC行列として保持し,各部分領域の求解過程ではLSC行列を用いた対称密行列ベクトル積演算が行われ,これにより従来手法に比べ大幅な計算時間の短縮を実現した.またファイル入出力や有限要素解析部分をライブラリ化し,それらを呼び出して連立一次方程式の求解を行うPythonアプリを開発した.これにより,非構造格子から作られる疎行列を係数とする連立一次方程式を用いた性能評価や最適化が可能となり,さらに汎用CPU向け既存コードを活用して低コストにコードを開発できることも明らかになった.次に,領域分割法におけるサブドメインごとの疎行列データを入力とし,それらを読み込んで領域分割法の並列求解部分の性能評価を行うアプリを開発し,これにより精度評価モジュールの実装の準備が整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来の目標であった,階層型領域分割法における階層間データ転送量と,大規模実用問題の解析精度を制御可能とするシステムの開発には至らなかったが,その開発準備が整い,またその結果,従来手法に比べ大幅な計算時間の短縮を実現したため.
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今後の研究の推進方策 |
解析精度評価モジュールの開発を行い,階層型領域分割法における階層間データ転送量と,大規模実用問題の解析精度を評価し,それらを制御可能とするシステムの開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた計算機関連物品の購入について,今年度の計算には既存機器での実行が可能となったため,翌年以降に購入を行うこととした.
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備考 |
2024年2月21日に英国・カーディフ大学において,”Cardiff University - Toyo University (CU-TU) Joint Academic Workshop”を開催した.
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