研究課題/領域番号 |
23K11158
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
波部 斉 近畿大学, 情報学部, 准教授 (80346072)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 姿勢推定 / 人物行動 / 防犯カメラ / 行動認識 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初計画のとおり、映像データ収集および、姿勢情報を用いた幾何学的コンテキストの獲得、姿勢情報を用いたセマンティックコンテキストの獲得に取り組んで来た。代表的な成果としては次の3点がある。 まず、街角に設置された防犯カメラ映像から、危険な片手運転を行っている自転車運転者を検出手法を考案し、実データを用いた評価で一定の精度が得られることを示した。この手法では、(1)深層学習手法を用いて自転車運転者の姿勢情報を推定し、(2)それに含まれているノイズなどを除去・補正する処理を行い、(3)最終的に機械学習によって通常運転者と片手運転者の識別を行う。評価実験では、実際の防犯カメラ映像から良好な精度で識別できることを示した。 次に、屋内のカメラで撮影した映像から、歩行している人物の姿勢および視線方向を推定し、その人物がどの物体を見ているかを推定する手法を考案した。視線方向の推定では、目を詳細に捉えるのではなく、顔向きや姿勢のみから推定する手法を採用し、遠方から捉えた画像からの推定を可能とした。 最後に、人物姿勢推定を行うモデルを、限られた数のデータセットで構築する手法の検討に着手した。広く使用されているモデルは全身が写っている場合を想定しているものが多く、着座など特別な姿勢へ対応することは難しい。そのような場合は、新たなモデルを構築する必要があるが、機械学習モデルの構築に必要な十分な数のデータを確保できないことが多い。そこで、生成モデルを用いたデータ拡張で対応することを検討している。本年度は、着座姿勢に着目して基礎的な検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ取得環境の構築や、幾何学的コンテキストの獲得など、初年度に実施予定だった研究項目に予定通り着手し、想定通りの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、ほぼ想定通りの進捗が得られているので、予定通り研究を行っていく。2年目の2024年度は研究項目が増えるので、研究補助の大学院生を増員して万全の体制とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった計算用GPUボードの価格が上昇したため、購入数を減らさざるを得なくなり、使用額が予定より少なくなった。不足分は、2024年度の助成金とあわせて必要数を確保する予定である。
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