研究課題/領域番号 |
23K11296
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研究機関 | 周南公立大学 |
研究代表者 |
土屋 敏夫 周南公立大学, 情報科学部, 教授 (10271074)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 運転支援システム / 感性工学 / インタフェース / 視線計測 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、車載情報システムにおけるマルチモーダルインタフェースの検討とシステムの利用実態に関するアンケート調査に取り組んだ。アンケート調査では、車載情報システム(カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム、自動運転システムなど)の利用実態やそれらの使用感に関するアンケートを作成した。現在はデータ収集を行なっている。マルチモーダルインタフェースの研究では、振動刺激に着目し、視覚刺激、聴覚刺激と振動刺激のパフォーマンスおよび感性評価に関する実験を行った。各モーダルでの呈示情報から左右のフットペダルを判別する課題を設定し、モーダル間の反応速度、エラー率、主観的判別しやすさを調査した。結果として、背部における左右2点による振動刺激は、客観的指標において視覚・聴覚刺激との有意な差はみられなかった。また、主観的評価では、実験環境においては振動による不快感があるとはいえないという結果が得られた。 視線計測機(アイマークレコーダー)を使った実験では、ドライビングシミュレータを操作している際の視線データを収集するとともに、両眼の輻輳と瞳孔径の計測を行った。現在は、収集した視線移動速度、注視点、輻輳角、瞳孔の拡大・縮小のデータと運転状況の関係を分析しているところである。運転操作の難しさのドライバーの心理への影響や、車載システムの情報呈示がドライバーの認知に与える影響と、情報呈示による感性への影響を中心に分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の研究計画は、車載情報システムの利用実態に関するアンケート調査を実施し、(1)目的地までの経路情報、(2)スケジュール、(3)乗車人数などの条件から、搭載された機能の利用実態を調査・分析する予定であった。アンケートの作成自体は順調に進んだが、実際の利用しているアンケート調査の協力者を選定することが困難であった。協力者の選定にあたっては、自動車販売店に協力してもらい、顧客へのアンケート調査が可能となった。当該年度内に分析まで終了する予定であったが、若干進捗が遅れている。 マルチモーダルインタフェースの検討では、今年度内に視覚・聴覚・振動の刺激について予備実験に位置付けられる評価実験を実施した。振動刺激は視覚・聴覚に対して有意に効果的という結論は得られなかったが、インタフェースへの導入の可能性を示唆することができた。この実験は、当初の計画以上に順調に進んでいる。 視線計測機については、本研究の客観評価指標として用いるため、任意の運転状況に対する各種データの関係を把握することで、今後の実験での利用が可能であることを確認した。おおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
車載情報システムにおけるマルチモーダルインタフェースの検討とシステムの利用実態に関するアンケート調査について、データ収集および分析を完了し、利用実態を把握する。 ドライビングシミュレータを構築するデザインソフトウエアを新規に導入する。このシステムを用いて、運転状況を定義するシナリオを作成してシミュレータをデザインする。デザインされたシミュレータを使ってインタフェースの評価実験を実施する。インタフェースデザインはプロトタイピングツールを使用する。ドライビングシミュレータと同期させ、実際のシステムと同様の運転状況を再現し、インタフェースのパフォーマンスを評価する。以上の環境構築を進めていく。環境構築が完了した後、評価実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入価格が想定よりも低かったので差額が生じた。
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