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2024 年度 実施状況報告書

事実確認支援のための言説と統計データとの整合性検証による根拠提供

研究課題

研究課題/領域番号 23K11342
研究機関京都産業大学

研究代表者

宮森 恒  京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (90287988)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード統計データ検索 / 大規模言語モデル / 文書補強 / クエリ拡張 / 表データ / マルチホップ推論 / 含意関係認識 / 情報検索
研究実績の概要

言説に関連した統計データの検索については,前年度に判明したデータセット中の正解データ不備の問題を解消し,大規模言語モデルによる文書補強とリランキングによる統計データのアドホック検索手法の性能検証を進めた.具体的には,元々のデータセットには,BM25等の従来のランキング手法による上位文書にのみ正解の関連性スコアが付与されていたが,LLMを用いた提案手法では,従来手法では取得できなかった文書を上位にランキングさせていたため,正解の関連性スコアが付与されていなかったことが不備の原因であった.クラウドソーシングを用いて不足分の正解関連性スコアを付与し,問題点を解消した.大規模言語モデルによる制約のもと,小規模なデータセットによるランキング性能の比較実験を行った結果,特に上位10 件の範囲では,提案手法は優れた性能を示しており,上位1位,上位3位においては最も優れたnDCG値を示すことを確認した.
次に,統計データ内の関連箇所の抽出については,視覚的なマルチホップ質問応答タスクに取り組んだ.具体的には,SlideVQAにおける従来手法の課題であった検索ステップ (回答根拠選択)の性能改善に焦点を当て,テキストのみに対するマルチホップ質問応答で高い性能を達成している Beam Retrieval をマルチモーダル情報に対応するよう拡張した手法 MMBR を提案した.実験により,提案手法は,検索ステップおよび質問応答全体の性能向上に寄与することを明らかにした.
最後に,関連箇所との整合性有無の判定については,言説テキスト,統計データの関連箇所,含意関係ラベルから構成される小規模なデータセットを作成し,既存のLLMによる含意関係認識の性能を検証した.その結果,「含意」「矛盾」 ラベルの言説に関しては高精度に分類できる一方,「中立」ラベルの言説は「含意」と誤判定される傾向が見られた.

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

まず,言説に関連した統計データの検索については,当初の計画通り,大規模言語モデルを用いた統計データのデータ補強,大規模言語モデルを用いたとととと統計データのリランキング手法を提案し,その基本的な性能を検証できているため.
次に,統計データ内の関連箇所の抽出については,当初の計画通り,関連箇所を抽出する際に必要な視覚的なマルチホップ推論による焦点を当てた手法を提案し,その基本的な性能を確認しているため.
最後に,関連箇所との整合性有無の判定については,当初の計画通り,基盤モデルを利用して含意関係認識の性能を分析しているため.

今後の研究の推進方策

まず,言説に関連した統計データの検索については,大規模言語モデルを用いた手法のため,検索結果を出力するまでの応答速度に課題がある.問題のある箇所を分析した上で改善を図る必要がある.
次に,統計データ内の関連箇所の抽出については,統計データを用いたデータセットをよより充実させ,より的確な関連箇所の抽出手法の開発と評価を実現し,整合性検証につなげられることを目指す.
最後に,関連箇所との整合性有無の判定については,データセットをさらに充実させ,手法の性能分析や課題の明確化などの検討を進める必要がある.

次年度使用額が生じた理由

予定していた国際会議で不採録となり,年度内での国際出張旅費が未使用となったこと,および,クラウドソーシングによる作業費が当初の見込みより少なく済んだことにより,残額が発生したため.追加実験の実施や研究成果発表等に伴う学会参加,論文投稿などに充てる予定である.

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2025 2024

すべて 学会発表 (17件)

  • [学会発表] 大規模言語モデルを用いた正確な出力長制御を伴う日本語要約生成2025

    • 著者名/発表者名
      伴 雄哉, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] ReSHQ: クエリと仮想クエリの類似度によるリランキング2025

    • 著者名/発表者名
      福岡 啓人, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 箱罠の自動制御のための鹿の警戒度推定2025

    • 著者名/発表者名
      酒井 歩夢, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] rexLSTM: xLSTMに基づくマルチタスク学習を用いた関係抽出2025

    • 著者名/発表者名
      林 知司, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] デコーダベースの言語モデルにおける体系性の分析2025

    • 著者名/発表者名
      井上 綾介, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 観光地間比較のための多様な数値情報と比較表現の正規化2025

    • 著者名/発表者名
      植田 颯, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] Beam Retrievalに基づくSlideVQAにおけるマルチホップ質問応答2025

    • 著者名/発表者名
      山野 瑞月, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] Large Vision Language Modelの順序数理解の評価2025

    • 著者名/発表者名
      戸崎 友輔, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] LLMを用いた文書補強とリランキングによる広範な統計データ検索2025

    • 著者名/発表者名
      黒川 博生, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 次元削減によるKernel SHAPの計算コスト削減2025

    • 著者名/発表者名
      西条 啓佑, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] LoRAと事前学習拡散モデルによるニューラルネットワーク重み生成2025

    • 著者名/発表者名
      王 墻, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 統計データを用いた事実確認支援のための統計データ内の関連箇所抽出2025

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 隆豪, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 事実確認支援のための言説と統計データ関連箇所との整合性検証2025

    • 著者名/発表者名
      樫山 和貴, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 空間的な編集指示に忠実な画像編集モデル2025

    • 著者名/発表者名
      石井 里奈, 宮森 恒
    • 学会等名
      第17回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム DEIM2025
  • [学会発表] 大規模言語モデルを用いた文書補強とリランキングによる統計データ検索2024

    • 著者名/発表者名
      黒川 博生, 宮森 恒
    • 学会等名
      WebDB夏のワークショップ2024
  • [学会発表] マルチタスク学習とタスク特化型大規模言語モデルを併用した関係抽出2024

    • 著者名/発表者名
      林 知司, 宮森 恒
    • 学会等名
      WebDB夏のワークショップ2024
  • [学会発表] 体系的推論における言語モデルの内部挙動の分析2024

    • 著者名/発表者名
      井上 綾介, 宮森 恒
    • 学会等名
      WebDB夏のワークショップ2024

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公開日: 2025-12-26  

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