研究課題/領域番号 |
23K11347
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
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研究分担者 |
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50536919)
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 教授 (30340110)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | プログラミング教育 / オンライン授業 / オンデマンド授業 / プログラミング学習環境 / 行き詰まり検知 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは先行研究にて、プログラミング演習における学習者のプログラミングプロセスを分析し、その結果を用いて演習中に学習者に個別指導する教師およびティーチングアシスタントを支援するシステムの構築を行ってきた。特に、学習者の行動履歴を過去の学習者の典型的行動パターンに基づいて判定するルールによって評価することにより、プログラミングにおける学習者の行き詰まりを検出してこれを教師に伝えることにより、困難を感じている学習者への適切なケアが可能になるよう支援することに特色がある。先行研究では適用対象が対面型の演習における行き詰まり検出に限定されていたが、本研究はこの成果を拡張し、ウィズコロナ環境で必須となる「教師と学習者が場を共有しないオンライン演習」「同じく時間すら共有しないオンデマンド演習」に適用することを目指すものである。令和5年度は、対面で行うプログラミング演習とオンデマンドで行うプログラミング演習のそれぞれについて、学習者のプログラミングの行き詰まりを検出する機構を試験的に導入し、学習効果および学習者を指導する教員やティーチングアシスタントからみた有効性の評価を行った。全体的には肯定的な結果を得ているが[雑誌論文3.(国際学会AIEDにて査読付き論文として発表)]オンデマンド演習時の学習者の特徴的な振る舞いについても知見が得られており、システムのいっそうの機能向上のための手がかりが得られた。なお学会発表2(査読なし)は雑誌論文3.のための基礎的検討をまとめたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の研究計画において令和5年度には「オンライン・オンデマ ンド型の模擬演習を複数回実施し、システムによる行き詰まり検知精度の向上度と、模擬授業における机間巡視システムとしての有用性を実験的に評価しつつシステムを改善する。」ことを挙げており、上の「研究実績の概要」欄で述べた通り、令和5年度にはオンデマンド側のプログラミング演習系授業に対して本研究で開発したシステムを導入し、その効果などを評価するという成果を挙げている。またその成果は学習教育支援システム・教育工学分野における著名な国際学会であるAIED(Artificial Intelligence in Education) [雑誌論文3.]にて査読付き論文として採択されており、国際的にも高い評価を受けているといえる。 上述の計画に含まれるシステムの改善については、本年度の研究を通じて得られたオンデマンド演習時の学習者の特徴的な振る舞いについての知見がその手がかりとなる。 これらの成果を挙げる過程で、研究代表者と研究分担者の協力関係は十分に機能しており、これは上記の発表論文において代表者と分担者の連名での発表が多く行われていることからも伺える。 以上の成果は当初予定していた成果の水準を十分満たすものではあるが、予想を大きく上回るような画期的な技術上の提案や想定以上に極めて高い有効性の実証を行えたとまでは言い難い。よって総合的には現在までの進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している」と評価するのが妥当であろうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度においては、当初の予定通り令和5年度から引き続いて「オンライン・オンデマンド型の模擬演習を複数回実施し、システムによる行き詰まり検知精度の向上度と、模擬授業における机間巡視システムとしての有用性を実験的に評価しつつシステムを改善」(「」内申請時研究計画調書より)を行う。ただし可能な限り模擬演習ではなく、令和5年度に行ったように実授業における実験を行う予定である。なお前年度の研究成果としてオンデマンド演習時の学習者の特徴的な振る舞いについての知見が得られたことから、行き詰まり検知システムの機能拡張のための着想は得られており、これを実現することで研究のPDCAサイクルを回すことができる。また構築した教材などのデータは適宜公開し、提案手法の普及展開に努める。得られた成果は内外の学習教育支援システム・教育工学分野の学会にて積極的に発表し、当該分野の発展に貢献する。また論文や構築した教材データなどのオープンアクセス化に取り組むなど、情報公開に努めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費等の支出に関して、オンラインで対応することが可能で支出が不要な場合があったため。今年度支出しなかった分については、次年度の対面実施の際に補完するための支出に充てる計画である。
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