研究課題/領域番号 |
23K11357
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大崎 理乃 信州大学, 工学部, 特任講師 (50630802)
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研究分担者 |
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学習支援システム / ラーニングアナリティクス / データビジュアライゼーション |
研究実績の概要 |
近年,プロジェクト型学習や探求学習など,正解が一つに定まらない学習活動が増加している.本研究は,学習者が主体的にグループで取り組む協調学習の,プロセス評価と支援の方法が確立されていないという課題に対して,教室での創造的なグループ活動の評価のため,データと知識創造モデルに基づく分析と可視化を組み込んだ学習支援システムの開発に取り組むものである.研究期間の初年度である2023年度は,計画どおり,主に授業実践データの収集と分析・可視化システムの開発に取り組んだ.授業実践データの収集では,知識創造モデルにもとづいて設計された協調学習教材を用意し,授業中の学習者のアイディアの変化と授業後の学習効果の視点について分析用データを収集した.分析・可視化システムの開発では,意味ネットワーク分析やトピックモデルといった分析方法と, Quantitative Ethnography(量的エスノグラフィー)の分析方法であるEpistemic network analysis(ENA)およびOrdered network analysis(ONA)を組み合わせたデータビジュアライゼーションに取り組んだ.また,音声や画像などの複数データを統合的に分析するマルチモーダルデータ分析に,教師が学習者の活動を観察して行う「見取り」のような質的な評価の視点を取り入れるための分析方法を検討した.その結果,マルチモーダルデータ分析に質的な視点を取り入れた方法が,数量的処理だけでは見いだすことの困難なグループでの活動の特徴を捉えることに有用であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度計画のうち,授業実践データの収集については,実践フィールドの環境変化によって,収集できたデータが予定よりも少ない結果となった.一方で,分析・可視化システムの開発ではマルチモーダル分析の検討など,当初計画以上に進めることができた.これらの進捗状況を踏まえ,研究全体としては「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度から継続する実践データの収集および分析・可視化システムの開発に加え,提案する方法による支援を反映した実践的評価に取り組む.特に,国際会議にて多くのフィードバックが得られた質と量の総合的分析方法を中心に検討する予定である. 2025年度は,提案方法の評価により焦点を当て,その結果から得られたフィードバックにもとづき,本研究で提案する分析・可視化システムの改善に取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
・理由:実践フィールドの環境変化により,購入予定物品の再選定や文字起こし,研究報告や情報収集のための研究会参加を翌年度以降にするよう計画を変更したため. ・使用計画:未購入物品の購入,文字起こし費用,研究報告や情報収集のための研究会参加費用として使用する予定である.
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