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2023 年度 実施状況報告書

過去30年間で成層圏の大気循環は変化したか?:ハロカーボンの新規測定にもとづく推定

研究課題

研究課題/領域番号 23K11396
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

梅澤 拓  国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (00570508)

研究分担者 森本 真司  東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
菅原 敏  宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80282151)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード成層圏 / 空気年齢 / ハロカーボン
研究実績の概要

本研究課題においては、成層圏の大気循環の有用な指標である「空気年齢」の過去30年間の変化を検出するため、保存(アーカイブ)されている成層圏空気試料のハロカーボン濃度の分析を実施することとしている。成層圏のアーカイブ試料は非常に貴重であるため、当該年度においては、過去に分析したハロカーボン濃度にもとづく空気年齢を再評価することで今後のアーカイブ試料の分析計画を再検討した。空気年齢の再計算にあたっては、入力データを更新・新たに入手して、計算に必要な対流圏での濃度トレンドを大気成分別に再整備し、さらに空気年齢の計算プログラムについても二つの言語版で整合性を確認した。このように再計算したハイドロフルオロカーボン(HFC)やパーフルオロカーボン(PFC)濃度にもとづく空気年齢を、従来使われてきた二酸化炭素(CO2)と六フッ化硫黄(SF6)濃度による空気年齢と比較した。その結果、HFC-23やPFC-318、HFC-227eaにもとづく空気年齢がCO2やSF6にもとづく空気年齢と相互に一致した。一方で、PFC-218は空気年齢の計算に十分な分析精度が得られていないことや、成層圏での化学反応による消滅の影響でHFC-134aにもとづく空気年齢が過大評価になるなど、特定の成分については空気年齢の計算に不適切な部分があることも明らかになった。さらに、空気年齢の推定の不確かさについては、分析精度と対流圏の濃度トレンドによる不確かさの寄与をそれぞれ分離して推定した。これにより、今後の成層圏試料の分析にあたって、特にHFC-23については、分析精度を向上させれば空気年齢推定の不確かさを低減できることがわかった。また、対流圏の濃度トレンドを大気成分別に整備した結果、アーカイブされている初期の成層圏試料(1990年頃)については、対流圏データの不足のため空気年齢計算に課題があることもわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた試料分析については予定よりも遅れているが、既存のデータを用いて空気年齢の計算手法の再検討や今後の分析計画を再検討できたことについては予定を上回る進展だった。

今後の研究の推進方策

初年度の検討の結果、特にHFC-23については分析精度の向上が望まれることがわかったため、分析システムの改良や分析条件の最適化を改めて実施する。また、課題が見つかった初期のアーカイブ試料については分析を保留して引き続き検討することとし、比較的新しいアーカイブ試料から分析を進めることにする。

次年度使用額が生じた理由

使用計画に合わせて執行したが、使用額欄の通りの残額が発生した。次年度の消耗品購入に使用する。

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公開日: 2024-12-25  

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