今後の研究の推進方策 |
アメダスの全国展開がほぼ完了するとともに, 衛星による海面水温観測の現業運用が始まった1980年以降で顕著な降水量を記録した事例を選択し, 分担者と共同で各事例について領域気象モデルを用いた豪雨発生時の水循環のシミュレーションを行う。また,豪雨発生前後の梅雨前線帯周辺の大気環境場および黄海・東シナ海周辺の詳細な海洋構造をデータ解析・シミュレーションおよびデータ同化を用いて調査する。このシミュレーション結果に関して水収支解析を行うことで, 豪雨発生時の水循環を調査する。シミュレーションにおける降水量の再現性が良好な事例を抽出し,降水・蒸発過程を考慮した後方流跡線解析を行い, 豪雨の原因となった水蒸気の起源を明らかにする。また,水蒸気の輸送経路と気象擾乱の関係を調査する。さらに,日本周辺の各海域における蒸発が大気境界層の水蒸気変化に及ぼす寄与率を算出し,各海域における重要性を評価する。 領域気象モデルによる豪雨のシミュレーションを行い, 水蒸気分布の時空間変化が豪雨をもたらす降水システムに及ぼす影響を明らかにする。雲・降水分布,気温・気圧・風速場の時空間分布の変化を明らかにするとともに, 静的エネルギー収支解析, 水蒸気収支解析, 後方流跡線解析を行うことで, 水蒸気分布の変化にともなう降水量や降水システムの変化とその要因を解明する。
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