研究実績の概要 |
8オキソグアニン(8oxoG)は、酸化ストレスのマーカーとして認識されているDNA損傷である。一方、新規の損傷Xは8oxoGとは異なった経路で生成する。ここではXのその特徴的構造に焦点をあて、Xに対しての新規水中ポストモディフィケーション反応を開発することで、in vitroおよびin vivoにおける総合的な酸化ストレスの度合いをより正確に測定することをめざすことを目的とする。 1年目は、新規の損傷Xに対する特異的な反応を水中で起こす反応系を探索する前段階として、Xの生成量増加の可能性を検討した。具体的にはフラビン二量化体(Kawada T, Kino K*, Matsuzawa Y, Morikawa M, Okamoto Y, Kobayashi T, Tanaka Y. N’1,N’4-bis(2-(7,8-dimethyl-2,4-dioxo-3,4-dihydrobenzo[g]pteridin-10(2H) -yl)ethylidene)succinohydrazide. Molbank 2022(2022) M1436-M1436)を、グアニン酸化損傷の収量増加目的に転用を見込んだが、残念ながら以前合成したフラビン二量体は極めて水溶性が低く、実際の反応系での使用において極めて低濃度となってしまい、Xの収量増加の目的にはとても使えないことが判明した(data not shown)。 加えて、照射装置をUVAトランスイルミネーターから青色LEDに変更することで、少しではあるが、Xの収量増加に成功した(Kawada T, Maehara M, Kino K*, Increased Yields of the Guanine Oxidative Damage Product Imidazolone Following Exposure to LED Light. Reactions 2023, 4, 801-810)。
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