研究課題/領域番号 |
23K11444
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 特別研究員 (00258500)
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研究分担者 |
藤井 由希子 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (80733542)
小川 和加野 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (90397878)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 海藻 / 臭素化合物 |
研究実績の概要 |
海洋生物によるOH-/MeO-BDEsの生成機構について、特定の海洋生物がOH-/MeO-BDEsを産生することが知られてるが、その起源、食物連鎖経路、最終的な運命は不明な点が多い。本年度は、これらの一部を解明するために、魚介類を調査した。 ①フィリピンのルソン島海域の二枚貝(Spondylus squamosus)から臭素化カテコール/グアヤコール、臭素化dihydroxy-BDEs、臭素化hydroxy-ジベンゾ-p-ダイオキシン(OH-BDsD)を検出し、定量した。未成熟期のS. squamosusでは、フェノール体の濃度は貝殻の高さが大きくなる(成長する)につれて減少し、そのメトキシ体が増加した。一方、臭素化カテコールは臭素化フェノールと縮合してdihydroxy-BDEsとなり、これが環状化してhydroxy-BDDsに変換される反応経路があると推測した。こうしてS.squamosusは、未成熟期の間にこれらの反応が進行し、最終的にdiMeO-BDEsやMeO-BDDとして生物濃縮することが示唆された。海藻が産生するOH-BDEsは、貝類から魚類への食物連鎖を経て、海産物の食事からヒトへ暴露されると考えられる。 ②ベトナムのハイフォン沿岸の二枚貝(Periglypta puerpera)から、塩素化および臭素化dihyroxy-biphenyl (diOH-BB80)を数種検出した。ハイフォン海域周辺のキハダマグロでは、そのBr2Cl2-dimethoxy-BB80が検出されたため、これら食物連鎖により、海洋哺乳動物への蓄積が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジアでのサンプル収集が困難になったため、これまでに収集保管している海産物について再分析を行っている。日本国内での海藻類は収穫期が地域によって異なるために時間を要し、データのとりまとめが遅れている。 抗菌活性に関するデータ取得、MeO-BDEなどの代謝(脱メチル化)に関する実験データのとりまとめが遅れている
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今後の研究の推進方策 |
1)海藻が産出するOH-PBDEs の化学形態の探索を継続して行う 2)海藻OH-BDEの標準品(合成済み)および海綿から抽出したOH-BDEsを用いて、抗菌活性(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する効果など)を調べる。 3)国内で刈り取った海藻(ひじきなど)中のOH-BDE成分と加工市販品(乾燥ひじき、わかめ)成分についてその化学形態(メチル化体と脱メチル化体の有無)を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗菌活性に関するデータ取得、MeO-BDEなどの代謝(脱メチル化)に関する実験データのとりまとめが遅れている。また、ヒト血清の前処理とデータ処理が終了していない。これらは次年度に計画し、次年度使用額をそれに当てる。
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