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2023 年度 実施状況報告書

精密水銀同位体分析による植物の水銀循環機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K11464
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

山川 茜  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (00720286)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード大気中水銀 / MC-ICP-MS / 水銀同位体 / 環境標準物質
研究実績の概要

本研究では、大気中水銀の植物への吸収・再放出プロセスを理解するために、植物およびその周辺の環境媒体の総水銀および水銀同位体分析を実施することとした。
<2023年度の計画> 試料採取・分析に関する検討
・ 環境試料の捕集方法の検討:申請者はこれまでに、大気中水銀、土壌、植物について捕集・前処理法を確立したが、降水については未開発である。採取および前処理方法は先行研究を参考にし、システムを構築した。
・ 精密水銀同位体分析のための前処理法の評価:葉の水銀同位体分析の前処理では、二段階加熱炉を用いる。手始めに、加熱温度や保持時間、水銀吸収液の調整等の最適な条件を検討した。既存の標準試料に加えて、本研究で作製した標準試料を用いて、回収率の確認および前処理による同位体分別の有無を確認することで制度管理を行った。
・ 標準物質の作製:水銀の同位体比変動は微小で、信頼性の高い分析結果を得るためには、高感度・高精度な分析手法の開発および精度管理が必須である。一般的には、測定試料と主要化学組成が類似した標準物質を用いて分析の正確さを評価するが、植物の同位体分析で使用されている標準物質について、ラボ間で微小な差がある。そこで本研究では、分析精度管理用のin-houseの組成標準を作製した。国内の葉を入手し、乾燥・粉砕・均質化・瓶詰め・滅菌を行い、加熱気化原始吸光水銀測定装置(日本インスツルメンツ社製、MA-3000 ) で総水銀濃度、マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析計(Nu
instruments社製、Nu Plasma II)で水銀同位体比を得て、参考値を付与した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の研究計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

<2024年度以降の計画>植物の大気中水銀の吸収・再放出についての化学的プロセスの解明
・ 採取場所の選定:本研究では、国立環境研究所の構内にあるマツ属(黒松・赤松を検討)およびコナラ属(コナラ・ブナ・カシワを検討)の葉、大気、土壌、降水の総水銀濃度および水銀同位体比を得る。国立環境研究所は周囲に顕著な水銀発生源がなく、周囲5km以内には研究所や住宅、道路、商業施設があるごく一般的な環境にある。所内には、多くの針葉樹および広葉樹が生息していることから、同環境下での比較調査が可能である。本研究は、黒松・赤松・コナラ・ブナを選定したが、害虫による枯れや台風による倒木等で採取が不可能となった場合は、同属の木を再選定することで対処する。
・ 葉のHg0(g) 吸収についての調査:季節毎に試料の採取および測定を実施し、種類および季節の違いによる葉の水銀吸収経路を明らかにする。
・ 葉からのHg0(g)再放出についての調査:本研究では、葉の内部に取り込まれたHg0(g)の再放出のプロセスを理解するための実験を行う。Hg0(g)の再放出を誘発する化学的反応が光還元反応の場合は、葉およびHg0(g)について奇数のMIFが変動する。光還元反応の有無や強度を見るために、透明および遮光バッグを用いて葉から再放出されたHg0(g)を捕集し、総水銀濃度および水銀同位体比を得る。

次年度使用額が生じた理由

(理由)使用額が生じた理由としては、降水サンプラーの作製数を半数にしたことによる。
(使用計画)この金額は、次年度の旅費および降水サンプラーを含む消耗品の購入、学会参加に使用することを計画している。

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公開日: 2024-12-25  

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