研究課題/領域番号 |
23K11465
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
山村 茂樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 室長 (90414391)
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研究分担者 |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (80323393)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ヒ酸還元細菌 / 亜ヒ酸酸化細菌 / 薬剤耐性菌 / 共耐性 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境サンプルをヒ酸(As(V))あるいは亜ヒ酸(As(III))を含む液体培地を用いて培養し、そのAs(V)還元あるいはAs(III)酸化活性を調べることで、サンプル中の薬剤耐性菌の優占度等を包括的に評価できると考えている。 そこでまず、これらの評価に最適なAs(V)還元・As(III)酸化活性測定の条件を検討を行った。つくば市内で採取した畑地土壌を組成の異なる複数種の培養液に接種し、所定濃度のAs(V)あるいはAs(III)を添加して恒温室で振盪培養を行い、培養液中のAs(V)及びAs(III)濃度をイオンクロマトグラフィーで経時的に測定した。まずハンドリングが容易な複合培地(LB培地及びR2A培地)を用いて活性測定を試みたところ、培養が進むにつれて培地成分の代謝物とみられる複数のピークがAs(V)及びAs(III)のピークと重なる形で出現し、正確な定量が困難であった。そこで、炭素源としてグルコースあるいは乳酸ナトリウムを含む無機塩培地を用いて実験を行ったところ、実験開始直後からAs(V)還元及びAs(III)酸化活性が見られた。 また、予備的にクロラムフェニコールを添加して同様の実験を行った結果、活性の変化を検出することに成功した。一方で、対象として行った炭素源のみを添加して行った実験では、活性が発現するまでに2週間以上の期間を要した。以上の結果から、As(V)還元・As(III)酸化活性の安定した測定には、無機塩培地が最適であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
As(V)還元・As(III)酸化活性の最適条件は確立できたが、家庭の事情により実験をストップせざるを得ない期間があり、年度内に予定した一部の実験を実施できなかったため、全体的な進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度確立したAs(V)還元・As(III)酸化活性の評価系を用いて、抗生物質がそれぞれの活性に与える影響を評価する。抗生物質を添加した模擬汚染土壌を作成し、一定期間ごとにサンプリングを行う。それぞれのサンプルに対して、抗生物質存在下での活性試験を実施し、コントロール系(抗生物質非添加)と比べて活性が上昇するかを検証する。さらに、次世代シークエンサーを用いた16S rRNA遺伝子のアンプリコン解析により細菌叢をモニターし、サンプル内で優占する耐性細菌群を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた一部の実験が実施できず、遺伝子解析等が次年度にずれ込んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、それらの実験・解析等での使用を予定している。
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