研究課題/領域番号 |
23K11471
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
チャン ヨンチョル 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30422025)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 芳香族塩素化合物 / PHA / フェノール |
研究実績の概要 |
様々な微生物コンソーシアムを用いて、芳香族化合物を中心に分解可能性について検討した。その結果、もっとも効果的に分解できた化合物はフェノールであった。一方、フェノールを含む廃水の処理がコストの観点から問題となっている。そのため、フェノールに付加価値を与えるために、生分解性プラスチック(PHA)の生産基質としての利用可能性を検討した。PHA生産菌であるBacillus sp. CYR1株(以下、CYR1株)は芳香族物質を分解及びPHA生産基質として利用できる。しかし、フェノールの利用可能濃度が最大で100 mg/Lと低かった。本研究ではPHA生産量の向上を目指すために、フェノール分解フェーズとPHA生産フェーズに分けることで効率的なフェノール分解とPHA生産量を目指した。PHA生産は一本の三角フラスコ中のフェノール(500 mg/L)を完全に分解し得られた分解産物(液)(以下、500 mg/L分解液)や、500 mg/L分解液へフェノール(500 mg/L)の添加・完全分解を4回繰り返し行った、計2000 mg/Lのフェノール分解産物(液)(以下、2000 mg/L分解液)をCYR1株のPHA生産基質として用いた。結果、500 mg/L分解液の条件は細胞乾燥重量(以下、CDW)166 mg/Lから9.8 mg/LのPHAが生産(収率5.9%)されたのに対し、2000 mg/L分解液の条件はCDW180 mg/Lから54.5 mg/LのPHAが生産(収率30.2%)された。この結果から先行研究と比較して細胞乾燥重量及びPHA生産量は低下したが、フェノール分解産物の蓄積とPHA生産が行われた。フェノールの主な分解産物として二酸化炭素、カテコール、安息香酸が検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題においてもっとも重要とされる微生物コンソーシアムの構築はおおむね完成されたものの、芳香族塩素化合物の分解実験が完成できなかった。しかし、微生物コンソーシアムの構築ができたことからこれ以降は迅速な研究ができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在構築されているコンソーシアムを用い、30種類の芳香族塩素化合物と15種類の脂肪族塩素化合物の分解実験を継続し、最効率分解組み合わせや分解できないもしくは分解率が低い組合せのデータベースを構築すると同時にGC-MSやLC-MSを用いて分解産物の同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定の試薬が年度末まで納品できないことが分かったため、発注中止となったが、新年度にその試薬を発注し予算消化する予定である。
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