• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

メタンとアンモニアを回収するためのバイオ炭添加乾式メタン発酵の基礎検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K11474
研究機関東京農工大学

研究代表者

利谷 翔平  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80725606)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード乾式メタン発酵 / ふん尿 / アンモニア / 炭化物
研究実績の概要

発酵残渣炭化物を添加した豚糞尿の乾式メタン発酵において、どの炭化物添加量が有効かを評価した。豚ふん尿のみ、豚ふん尿に発酵残渣炭化物(700℃で調製した)を1%(発酵物中の固形物に対する割合)(B700-1)、5%(B700-5)および15%(B700-15)混合した4系を、55℃で高温乾式回分メタン発酵を実施した。さらに、得られたデータを解析し、メタン生成ポテンシャル、最大メタン生成速度および遅延期を評価した。メタン生成ポテンシャルは、B700-1が最大となった。また、最大メタン生成速度も同様に、B700-1が最大となった。これは、豚ふん尿のみを発酵するよりも、炭化物を1%添加したほうが、短い時間でより多くのメタンガスを得られることを意味する。残渣炭化物の添加によるメタン生成活発化の要因について、阻害物質であるアンモニアの炭化物への吸着が考えられたが、発酵後残渣の水抽出液に含まれるアンモニウム濃度はどの系でも変わらなかったことから、その他の要因がメタン生成の活発化に寄与していることが考えられた。
一方、炭化物の過剰添加は発酵阻害の要因になることが分かった。炭化物の添加率が5および15%(B700-5およびB700-15)の場合、メタン生成ポテンシャルおよび最大メタン生成速度は、豚糞のみおよびB700-1より低く、さらに遅延期が増大した。過剰添加による発酵阻害の原因について、メタン濃度の低下などは見られなかったため、炭化物へのメタン吸着ではないと考えられた。一方、メタン発酵において発生する種々の中間体(グルコース、各種有機酸)の残渣炭化物への吸着試験を行ったところ、メタンの直接の原料である酢酸の吸着が確認された。そのため、過剰添加による発酵阻害の要因の一つは、基質の残渣炭化物への吸着であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発酵残渣炭化物のメタン生成への影響を定量的に解明することができた。また、過剰添加による阻害現象が見られたので、炭化物のメタン発酵利用における条件が明らかとなった。

今後の研究の推進方策

今回得られた炭化物の添加条件を用いて、種々のバイオマスの炭化物を用いた乾式メタン発酵を行い、炭化物物性とメタン生成との関連から、どのような性質のバイオ炭が乾式メタン発酵の促進に有効であるかを明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 炭化物を用いた豚糞尿乾式メタン発酵におけるアンモニア阻害の緩和2024

    • 著者名/発表者名
      石田虎太朗, 黒岩恵, 寺田昭彦, 利谷翔平
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会年会
  • [学会発表] 乾式メタン発酵残渣炭化物と卵殻炭化物による栄養塩吸着2024

    • 著者名/発表者名
      崎原洸太, 黒岩恵, 寺田昭彦, 利谷翔平
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
  • [学会発表] 含水率の異なるメタン発酵におけるメタン生成量の比較と細菌・古細菌・原生動物の関与2024

    • 著者名/発表者名
      数田ゆい, 黒岩恵, 寺田昭彦, 利谷翔平
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
  • [学会発表] 上向流式乾式メタン発酵における基質含水率の影響2024

    • 著者名/発表者名
      藤井一磨, 黒岩恵, 寺田明彦, 利谷翔平
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
  • [学会発表] Prevention of ammonia inhibition in solid-state mono anaerobic digestion of pig manure using digestate biochar2023

    • 著者名/発表者名
      S. Riya, K. Ishida
    • 学会等名
      4th International Conference for Bioresource Technology for Bioenergy, Bioproducts & Environmental Sustainability
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi