研究課題/領域番号 |
23K11492
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
山本 健太郎 大分大学, 減災・復興デザイン教育研究センター, 准教授 (40305157)
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研究分担者 |
根上 武仁 佐賀大学, 理工学部, 講師 (30325592)
平 瑞樹 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (40284913)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 特殊土 / 産業廃棄物 / 藻場基盤材 / 低環境負荷 / 長期モニタリング / リサイクル / 海藻 |
研究実績の概要 |
本研究では、自然環境への影響が少ない災害発生土等を再利用することで藻場基盤材の主材とする。そして、試作した基盤材を実際の海域に設置し、モニタリングしてその有効性を検証することにより、藻場の保全等に実装可能な基盤材の開発を目指すものである。これはSDGsやブルーカーボンにも貢献でき、かつ日本における家畜等の腸内環境に有用な海藻の養殖にも寄与できる。災害廃棄物となるまさ土、しらすや、そのままでは産業廃棄物となる流動砂、なかなか有効利用が進まないリサイクルマテリアルを活用することで、環境負荷を大きく低減できる。最終的には、開発した基盤材に対して、海藻の活着やその後の生育効果チェックを行い、最適な形状や混合物と固化材の配合割合を明らかにする。なお、従来のように半永久的なものではなく、少しずつ崩れて自然に還る(壊れる)ことができる基盤材を開発する。初年度は、特殊土(まさ土、しらす)に陶磁器破砕片、廃鉄粉(使い捨てカイロ)、再生石膏、高炉セメント、水などを混合した。また、新たに有機化合物であるアミノ酸を含有する米ぬかを混入比率を変えて添加した。そして、強度試験を実施後、実海域への海中投入・設置を行った。得られた成果を以下にまとめる。 1)海藻の活着に際して、基盤材表面の強度はある程度、固い方が好ましい。波浪などですぐには削られない強度が必要である。 2) ガンガゼなどのウニ類の付着を防止するために、円盤形状の藻場基盤材とした。質量も20kg程度で持ち運びが可能である。また、平面的には設置可能であるが、乱積みなどはできにくいところがある。 3) 有機化合物であるアミノ酸を含有する米ぬかの混入は、基盤材内に微生物が育つ環境を提供でき、海藻生育に対し効果があると考えられる。妥当な添加量に関しては、今後のモニタリング等のデータ収集が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は藻場基盤材の開発に当たり、特殊土(まさ土、しらす)に陶磁器破砕片、廃鉄粉(使い捨てカイロ)、再生石膏、高炉セメント、水などを混合した。また、新たに有機化合物であるアミノ酸を含有する米ぬかを混入比率を変えて添加した。そして、養生後に強度試験を実施し、その後、海中投入・設置を行った。米ぬかを大量に混入すると強度は低下するが、海藻の活着効果や集魚力が高い傾向が明らかになった。スムーズな次年度への移行できる体制が構築された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、特殊土(まさ土、しらす)や流動砂に陶磁器破砕片、廃鉄粉(使い捨てカイロなど)、再生石膏、高炉セメント、水、米ぬかの合比率を変えて、強度試験を実施する。なお、海中投入後もすぐには壊れず、海藻活着に問題がない必要な強度を満足する基盤材を開発する。また、必要な鉄分とアミノ酸を供給しつつ、強度的に問題がない混合物や固化材の配合割合などを明らかにする。そして、今年度投入した基盤材も含め、基盤材への海藻類の根付き、基盤材の風化状況や周辺環境状況等の定期的な長期モニタリングをいくつかの海域で実施する。さらに、カゲキノリ等の有用な海藻が見られる奄美大島においても地産地消を念頭に置いた基盤材を開発し、実証試験を少しずつ開始する予定である。現在のところ特に、研究計画の変更や研究を遂行する上での問題点はなく、順調である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はあまり物品を購入せず、旅費も少しひかえた。次年度は、研究遂行に必要な機器を購入する予定である。また、モニタリングや学会などへの研究発表も活発にしていくので、旅費も多く必要となる予定である。
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