研究課題/領域番号 |
23K11499
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小林 拓朗 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 主幹研究員 (10583172)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイオマス / 熱分解 / バイオガス / バイオチャー |
研究実績の概要 |
各種のバイオマスおよびプラスチックを原料とした熱分解を行い、生成した炭化物の特徴づけを実施した。さらに炭化物をメタン発酵槽に投入した際の発酵促進も検討した。バイオマスとプラスチックの混合は、生成するバイオ炭の多孔性を損なう傾向があることが確認されたが、分解温度が低い生分解性プラスチックではその傾向が緩和された。また、CO2ガスを熱分解に導入することで多孔性、比表面積の減少は抑制された。しかしながら、バイオマス中の金属元素濃度およびその種類がCO2との反応性に影響し、もみがらや稲わら等のSiリッチなバイオマスは、900℃以上の高温でなければ反応が進みにくいことも確認された。具体的には、熱重量分析において、灰分中のカルシウムの比率が高い汚泥やカニ、エビ殻はCO2とより低い温度で反応速度のピークを迎える。生成炭化物のメタン発酵プロセスへの投入に関して、炭化物と比表面積とメタン生成速度の増大との間に相関関係が見られ、熱分解による多孔性の損失抑制やCO2導入による多孔質化が有効な方策である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭化物の特徴づけや発酵プロセスへの導入に関して、おおむね順調に進展しているが、炭化物に残留する有機汚染物質の抽出及び分析の方法の確立に手間取っており、その点は今年度以降進捗させることが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
熱分解へのCO2の導入や生分解性プラスチックへの代替が課題解決に有効である可能性が示唆された。このような条件におけるフェノールやナフタレン等の炭化物への残留について調査を進めるとともに、発酵プロセスにおける挙動も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた炭化副生物の定量ができなかったことから、試薬等の購入を行わなかったため計画との齟齬が生じた。次年度に物品購入費に充てる予定。
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