研究課題/領域番号 |
23K11512
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
村田 智吉 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主幹研究員 (50332242)
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研究分担者 |
中山 忠暢 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主幹研究員 (30332240)
野原 精一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, シニア研究員 (60180767) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 山岳湿原 / 放流管理 / 栄養塩 / 湿原植生 / 土砂成分 / 洪水頻度 / 土壌 / 底泥 |
研究実績の概要 |
尾瀬ヶ原下流部の沼尻川を挟んで中田代地区と下田代地区における泥炭堆積状態や鉱質成分の鉛直分布等について調査を実施した。河岸部を除けば湿原内部には降下テフラ(浅間、榛名)以外の鉱質成分は見いだせず、河川氾濫等による土砂分布の影響は極めて小さいと予想された。また、上流部に位置する尾瀬沼の底泥調査を開始し、初年度は最深部で40cmのコア採取を行い、また、尾瀬沼に接し、土砂供給源になると考えられる燧ヶ岳の斜面土壌について断面調査および試料採取を実施した。その他、大江湿原と尾瀬沼に地下水位の計測を実施した。12月半ばから尾瀬沼の水位が下がり、積雪期の大江湿原では降水の供給が無くなり、湿原地下水位は徐々に低下した。2.5mの湖水位の低下時期には大江湿原の中央部の地下水位の影響はほとんど認められなかった。水門操作によって尾瀬沼水位が上昇する4月から湿原地下水位は上昇し、融雪による水位増加により0.4mの地下水位増加が観察されたが、湿原中央では軽微な変化しか認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は当初予定通り、尾瀬ヶ原下流部において調査トランセクトを設置し、湿原堆積物の鉛直特性を調査分析することができた。また、水文調査に向けたセンサーの設置や上流部での地下水位変動の観測なども行うことができた。植生については調査等は実施できているものの解析については若干遅れているものの進捗としてはおおむね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続き尾瀬ヶ原湿原内で採取した泥炭中の鉱質成分分析を行い、その由来と堆積メカニズム、河川の氾濫などとの関連性について調査・考察を行う。また、上流部の尾瀬沼の底泥、隣接する燧ヶ岳の斜面土壌についても引き続き調査・分析を進め、尾瀬ヶ原に分布する鉱質成分との関係性についても考察を進めていく。また、尾瀬ヶ原を流下する沼尻川の水位調査や尾瀬沼付近の湿原の水位変動についても引き続き観測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
底泥の放射性炭素年代測定などの分析委託を想定していたが、次年度に採取する試料とよく精査してからあらためて実施したい旨、差額が発生した。
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