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2023 年度 実施状況報告書

樹幹流を利用した新たな樹上生物多様性モニタリング法の開発: 地衣類をモデルとして

研究課題

研究課題/領域番号 23K11516
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

坂田 歩美  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (40597324)

研究分担者 宮 正樹  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (30250137)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード環境DNA / 樹幹流 / 地衣類 / 樹上生物多様性
研究実績の概要

樹幹流を利用した生物多様性モニタリング法の基盤技術開発を行うことを目的として本研究を実施した.
本研究では樹幹流の回収方法を開発し,その性能を検証するために,回収した樹幹流に含まれる樹上生物のDNAをテンプレートにして地衣類のメタバーコーディング解析を行った.目視で確認した樹上に生育する葉状地衣の種数および種組成とメタバーコーディング解析の結果を比較し,その結果,目視で観察した葉状地衣7種中,6種を検出することに成功した.さらに,目視では確認できなかった葉状地衣2種を検出できたことは,本モニタリング法の有用性を示唆している.この研究成果を第6回環境DNA学会九州大会でポスター発表すると共に,国際誌 MethodsX に投稿し,論文が受理された.
予備的研究の結果,新たに浮き彫りになった技術的課題を解決するために青葉の森公園(千葉市)で回収した樹幹流を用いて環境 DNA の抽出法の違いとライブラリー調整法についての影響をメタバーコーディング解析の結果により検討した.また,本モニタリング法の性能を検証するために,千葉県内では地衣類の多様性が高い千葉東大演習林で樹幹流の回収を2回実施した。さらに,千葉県とは異なる地衣類相の屋久島において,地衣類の分布調査と本モニタリングを実施するために必要な予備調査を実施した.それと並行して,プライマーの設計・開発とデータベース用のリファレンス配列取得のために,地衣類の採集を東大演習林など千葉県各地で行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生物多様性モニタリングに適した樹幹流回収方法を確立することができた.この研究成果により,これまで困難であった樹上生物多様性モニタリングを迅速かつ簡便に実施することが実現可能となった.また,その他の基盤技術開発についても実験は概ね順調に進んでおり,論文化も並行して進めている.

今後の研究の推進方策

今後は実験法の基盤技術確立を目指し,プライマーの設計・開発やライブラリー調整法の改良を行う.また,本モニタリング法の性能を検証するために,千葉東大演習林や屋久島でサンプリングを実施する.さらに,天候に依存しない調査法の開発を実施するとともに,地衣類以外の分類群についても,本モニタリングの実証試験を行う.

次年度使用額が生じた理由

リファレンス配列取得のために,地衣類の採集を千葉県各地で行ったが,採集した地衣類の処理を行うことができなかったため,執行残が出てしまった.前年度末の時点で予定していたリファレンスデータの取得を行うための物品費や委託費に使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Collection of environmental DNA from stemflow for monitoring arboreal biodiversity: Preliminary validation using lichens2023

    • 著者名/発表者名
      Sakata A., Sado T., Oka S., Ushio M., Miya M.
    • 雑誌名

      MethodsX

      巻: 11 ページ: 102448

    • DOI

      10.1016/j.mex.2023.102448

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 樹幹流を利用した新たな樹上生物多様性モニタリング法 の開発と地衣類を用いた予備的検証2023

    • 著者名/発表者名
      坂田 歩美・佐土 哲也 ・岡 慎一郎 ・潮 雅之・宮 正樹
    • 学会等名
      環境DNA学会

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公開日: 2024-12-25  

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