研究課題/領域番号 |
23K11525
|
研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
小濱 剛 千葉科学大学, 危機管理学部, 准教授 (80380278)
|
研究分担者 |
力石 嘉人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50455490)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 陸上養殖 / 人工飼育水 / 魚類 / 成長速度 |
研究実績の概要 |
本研究の達成目標は,天然の飼育水(淡水あるいは海水)と好適環境水で様々な魚類を飼育し,アミノ酸の安定同位体比(15N/14N)を異なる飼育水の間で比較することにより,飼育個体の「エネルギー消費量」を定量的に評価することである。 2023年度は,浸透圧調節機能が異なる3タイプ(トラフグなどの狭塩性の海水魚,コイなどの狭塩性の淡水魚,ウナギなどの広塩性の通し回遊魚)から,狭塩性の淡水魚代表種を選定した。また,選定した魚種について塩分の異なる好適環境水(0・4・8‰)での比較飼育試験を行い,体重・体長の時系列変化に加え,飼育水質のモニタリングを継続して実施している。飼育60日目時点における結果から,体重・体長共に0‰(体重2.25±0.85g,体長53.81±7.83mm)と8‰(体重1.36±0.43g,体長44.99±5.42mm),4‰(体重2.70±0.75g,体長56.03±6.94mm)と8‰に統計的優位差が確認された。この結果から,狭塩性の淡水魚代表種については,塩分4‰以下の好適環境水であれば、長期飼育が可能であると示唆された。 今後は,飼育試験を継続するとともに,飼育試験中の個体を適宜抜粋し,アミノ酸の安定同位体比(15N/14N)の測定を行うことで,飼育個体の「エネルギー消費量」を定量的に評価し、成長差との整合性を確認する予定である。 なお、比較飼育試験における途中結果については,研究分担者と適宜情報共有を行っており,好適環境水を用いることによる科学的効果の解明についても,両者で議論を重ねている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
狭塩性の淡水魚については,当初の予定通り魚類の飼育比較試験を実施しており,成長差が確認され,成長段階に伴うサンプルも確保できている。一方,狭塩性の海水魚と広塩性の通し回遊魚については,当初予定していた稚魚の入手が不漁等の理由により困難になってしまったため,次年度以降実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
狭塩性の海水魚と広塩性の通し回遊魚の選定魚種について,当初の予定通り推進する予定であるが,2024年度も入手困難な場合は,魚種を変更して飼育試験を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた狭塩性の海水魚と広塩性の通し回遊魚の飼育試験について,2023年度は不漁等の理由により稚魚の入手が困難になってしまったため,未使用分の予算については次年度使用額とした。2024年度は,これらの飼育試験と当初予定していた研究を並行して行うため,翌年度分として請求した助成金と合わせて執行する予定である。
|