研究課題/領域番号 |
23K11541
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
飯田 義彦 筑波大学, 芸術系, 准教授 (90774802)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 生態系サービス / 森林 / 個体群保全 / トチノキ / 生物季節 / 評価手法 / 源流域 / 保全活動 |
研究実績の概要 |
2023年度は、森林の生態系サービスの評価の一環として、継続モニタリングサイトにて開花期ならびに落葉期にトチノキ個体群の生物季節評価を実施し経年的なデータを取得した。2021年度~2023年度の開花期データを用いて、開花期間に影響を及ぼした気象要因を検討し、原著論文として投稿した。 トチノキ個体群の開花期における蜜量生産の時系列的な把握のために、近傍に設置されている養蜂箱の重量計測システムを独自に開発した。開花期における蜜量の重量変化の試行的な測定を行うとともに、気象観測装置を設置し風や降水量の観測を開始した。冬季の積雪期にトチノキ林内の積雪深自動撮影システムを考案し試行的に計測した。 トチノキ林の保全活動について、京都府綾部市や滋賀県長浜市などで参与観察を行った。また、全国トチノキ学ネットワークの設立参画メンバーとして、全国トチノキ学ネットワーク準備会を2023年5月に滋賀県長浜市で開催し、地域住民、研究者、行政などトチノキ保全に関わる全国レベルでの超学際的研究交流のネットワーク形成に貢献した。 トチノキ個体群の生物季節評価の有する意義を第18回日中韓ランドスケープ専門家会議(国際会議)で発表するとともに、トチノキ個体群の保全戦略を半公開性の資源利用という特徴から考察し、第13回International Conference on Landscape and Ecological Engineeringで発表した。また、日本ジオパークネットワーク大会や日本ユネスコエコパークネットワーク大会にて、地域ベースの保全制度とトチノキ個体群や森林生態系サービスの関係性を考察した発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は生物季節観測を実施し、経年的なデータを取得できた。重量計を用いた計測についてはさらなる改良の余地がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、生物季節評価、気象観測を継続的に実施し、森林の生態系サービスの経年的な変化の把握に努める。全国的なトチノキを含む森林の保全制度の分析に着手するとともに、蜜源植物としてのトチノキの機能評価を進める。
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