研究課題/領域番号 |
23K11549
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
大野 栄治 名城大学, 都市情報学部, 教授 (50175246)
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研究分担者 |
森杉 雅史 名城大学, 都市情報学部, 教授 (00314039)
杉浦 伸 名城大学, 都市情報学部, 教授 (70549592)
森 龍太 名城大学, 都市情報学部, 助教 (80782177)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー事業 / 環境経済評価 / 産業連関分析 / 仮想市場評価法 / コンジョイント分析 |
研究実績の概要 |
まず、住民参加型再生可能エネルギー事業による効果の体系的整理を行った。当該事業による効果は多岐に亘り、エネルギー生産の増加(経済面)、二酸化炭素排出の減少(環境面)、地域活動の活性化(社会面)などの効果が考えられる。そこで、袋井市役所(所在地:静岡県袋井市/取組内容:農業生産活動に付随して発生する植物性残渣をバイオ資源とするバイオガス発電システムの実証実験を検討中)と北菱電興株式会社(所在地:石川県金沢市/取組内容:地産地消で地域活性化に資する小水力発電事業の実証実験を実施中)に出向き、それぞれの住民参加型再生可能エネルギー事業の経緯、期待される効果、解決すべき課題などをヒアリングした。また、刈草がバイオ資源となりうることから、小熊知風の里づくりネットワーク協議会(所在地:岐阜県羽島市/取組内容:地域住民による草刈活動を支援中)に出向き、地域住民による草刈活動の背景、実績、課題などをヒアリングした。 次に、住民参加型再生可能エネルギー事業の環境経済評価に関する方法論について、1)収支分析・産業連関分析に基づく経済面での便益評価、2)仮想市場評価法に基づく環境面での便益評価、3)コンジョイント分析に基づく社会面での便益評価、の3つに分けて検討した。1)と2)については、先行研究の実績に基づき、それぞれの評価モデルの開発方針を検討した。3)については、新たな評価モデルを構築し、先行研究で実施したアンケート調査の回答データを用いて住民参加型再生可能エネルギー事業に関する住民参加率関数の推定と社会的便益の計測を行い、その成果を国際学会にて口頭発表を行った。また、3)は先行研究の内容の一部を引き継いでおり、前年度末に投稿した研究論文「住民参加型再生可能エネルギー事業に関わる代替案の優先順位付け」の査読意見に対応し、本年度に当該論文が審査を通過して学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度より研究代表者が所属機関の副学長・理事に就き、急激に増加した学内業務になかなか順応することができず、研究時間の確保および研究分担者との打合せ時間の調整が容易ではなかったことにより、本研究課題の進捗状況は「やや遅れている」と考える。 本研究課題では、住民参加型再生可能エネルギー事業の環境経済評価に関する方法論について、1)収支分析・産業連関分析に基づく方法論、2)仮想市場評価法に基づく方法論、3)コンジョイント分析に基づく方法論、の3つを想定し、相互に連携した運用を目指している。ここで、2)と3)の方法論はアンケート調査による回答データを必要としているが、本研究課題におけるアンケート調査の機会は一度のみであるため、2つの方法論に適用可能な調査票を作成しなければならない。そのためには研究分担者との詳細な打合せが欠かせないが、その時間を確保することが容易ではなかったことにより、調査票を確定することができず、本年度に実施する予定であったアンケート調査を見送った。その分だけ進捗が遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も研究代表者は所属機関の副学長・理事に就いているが、本年度1年間の職務経験を経て、研究時間の確保および研究分担者との打合せ時間の調整が容易になりつつある。 本研究課題では、先述の通り、住民参加型再生可能エネルギー事業の環境経済評価に関する方法論について、1)収支分析・産業連関分析に基づく方法論、2)仮想市場評価法に基づく方法論、3)コンジョイント分析に基づく方法論、の3つを想定し、相互に連携した運用を目指している。今後もこの研究方針を維持し、研究分担者との詳細な打合せを重ねて、それぞれの方法論が相互に連携した環境経済評価システムを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、1)アンケート調査の実施を見送ったこと、2)国際学会における口頭発表をオンサイト発表からオンライン発表へ変更したこと、3)研究補助員を雇用しなかったこと、の3つが主なものとして考えられる。1)については、研究分担者との詳細な打合せ時間の確保が容易ではなかったことによるものであるが、次年度は研究分担者との打合せ時間の確保に一層努め、予定されたアンケート調査を実施することに予算を使用する。2)については、国際学会へ参加するための日数と費用を確保することが困難であったことによるものであるが、次年度も航空路線数と航空運賃の問題が継続する可能性があるので、国内学会における口頭発表も想定しながら、国際学会・国内学会へ参加することに予算を使用する。3)については、指導する大学院博士後期課程の学生が休学していたことによるものであるが、次年度には復学予定の当該学生を研究補助員として雇用することに予算を使用する。
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