研究課題/領域番号 |
23K11586
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山本 大介 北里大学, 薬学部, 講師 (60596914)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ラオス人民民主共和国 / 血液事業 / 国際支援 |
研究実績の概要 |
2023年度はラオス人民民主共和国における血液事業の開発事例について文献的調査を実施した。具体的には、ラオス血液事業における献血から血液製剤の供給に至るまでの事業変遷について調査した。ラオスは1975年に設立した国で元々はラオス保健省により血液事業が行われていた。1990年代初頭の輸血用血液の供給状況は、その殆どが患者の家族や知人等による枕元輸血又は売血に由来するもので、献血者は年間5名程度であった。当時、病院で採血されていた血液に対する検査は、各病院に任されていたためHIV検査などの必要な検査が行われていないことがあり、検査技術も不十分であった。1990年にラオス保健省が首都ビエンチャンにある血液銀行の運営をラオス赤十字社に委託し、その後の1992年に国の管轄から独立したラオス赤十字社が血液事業を担った。1993年にラオス赤十字社は、国際赤十字・赤新月社連盟に支援の要請を行い、1995年から2003年までの間に日本赤十字社による第一次支援が行われた。日本赤十字社による第一次支援では、中央血液センターの建設、検査試薬・機器等の資金援助、献血制度の構築、コストリカバリーシステムの導入や、専門家による技術支援などが行われた。2000年にはコールドチェーンの調達のためにルクセンブルク政府による資金提供が行われた。2005年以降は世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)からの支援を受けており、この支援によりラオス全土で血液事業を拡大するに至った。2007年にはドイツ赤十字による支援が始まり、献血者募集、地方の血液センターの機能強化、いくつかの地区でストレージユニットが設けられた。2012年から2017年にも日本赤十字社による第二次支援が行われ、血液センターの品質機能強化と運営能力強化の支援などが行われた。次年度も引き続き、これらの詳細な調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラオス人民民主共和国における血液事業の開発事例について文献的調査が実施できた。2024度も引き続き詳細な調査を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き調査活動を実施するとともに研究成果の発表に向けた準備を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施において、特に物品の購入の必要に迫られなかったため。2024度の継続調査や研究成果をまとめる際の費用として使用する予定である。
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