研究課題/領域番号 |
23K11602
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古泉 達矢 金沢大学, 国際学系, 教授 (90724831)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 華工(華人労働者) / イギリス帝国 / 中国 |
研究実績の概要 |
本研究は第一次世界大戦期にイギリスが行った、中国北部における華工(華人労働者)の雇用および欧州への派遣事業をめぐり、在華宣教師が果たした役割を解明するものである。初年度にあたる2023年度には、以下の活動に焦点を当てた。 第一に、日本国内に所蔵されている宣教師文書の調査・収集に取り組んだ。本研究課題で調査・分析の対象とする宣教師文書のオリジナルは海外の文書館に所蔵されているが、その一部は国内の研究期間にも複写が所蔵されている。そのため桃山学院大学に所蔵されているChurch Missionary Society関係文書、東京大学東洋文化研究所に所蔵されいてるLondon Missionary Society関係文書、立命館大学図書館に所蔵されているSociety for the Propagation of Gospel in Foreign Parts関係文書などを閲覧・収集した。 第二に、2021年・22年にそれぞれ九州史学会および東洋文庫近代中国研究班の研究会で報告した内容を、新たに収集した史料に基づき拡充させた上で、11月に開催された国際政治学会で報告した。 なお、イギリス帝国の中国での活動に焦点を当てた本研究課題は、必然的に香港の近現代史と密接な関連を有している。そこで香港史の研究者と共同で、3月にシアトルで開催されたAssociation for Asian Studiesにて共同のラウンドテーブルを組み、香港史の教育をめぐる報告を行った。 以上の取り組みを通じて、国内に所蔵されている関連史料の概要を具体的に把握することができただけでなく、海外調査で確認すべき史料についても確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の各研究期間に所蔵されている文書類を調査・収集することができただけでなく、それらの分析を通じて得た知見をもとに、国際関係史をめぐる国内の主要な学会で報告することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり、今後数年間をかけてイギリスやカナダ・アメリカなどを訪問し、日本での調査で得ることができない史料を中心として調査・収集し、それらの分析を通じて得た知見を随時、国内外の学会での報告や各種媒体への投稿を通じて、社会に還元したいと考えている。また日本国内および台湾で収集できる史料についても、引き続きリストアップおよび収集に励むこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外での史料調査を実施することができなかったので、予算に余裕が生じた。残額は来年度以降の国内外における史料調査のために支出する予定である。
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