研究課題/領域番号 |
23K11619
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 敦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60788793)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ワーケーション / デジタルノマド / 関係人口 / 越境学習 / テレワーク / リモートワーク / コワーキングスペース |
研究実績の概要 |
ワーケーションは①企業 ②個人(≒従業員)③地域 ④ワーケーションに関係する事業者の4つのステークホルダーが存在が明らかになっており、その効果については、各ステークホルダーごとにさまざまな試行がされている。 例えば、経団連ではその効果として「生産性向上」「長期休暇取得促進」「人的ネットワークの強化」「採用力強化・リテンション」「健康増進」の5つを挙げ、NTTデータ経営研究所は、ワーケーションによる生産性と心身の健康に関するポジティブな効果に関する実証研究を、さらにアステリア(株)は、ワーケーションを含むウエルビーイングに取り組む企業の業績や利益の成長率に関する意欲的な研究を進めている一方、地方行政や地域に対する効果、および関連産業に対する調査研究は、まだ事例が少ないのが現状である。
研究初年度における本年は、こうした他の研究等、ワーケーションの効果に着目した国内、海外における研究の状況に関するレビューと分析を行うともに、①ワーケーションに関する調査(山梨大学・クロスマーケティング)②ワーケーション自治体協議会のワーケーション施策に関する会員調査(2023年4月 公益社団法人日本観光振興協会・ワーケーション自治体協議会・山梨大学)の調査データをもとに、評価指標の策定と分析を進めている。
さらに、5類への移行によりコロナ禍の影響がほぼなくなり訪日観光客需要が急速に戻って来る中で、海外から長期間日本に滞在し、デジタルを活用し通常の仕事も行いながら観光なども行う「デジタルノマド」の動きが顕著になってきたことから、主に受入れ地域におけるこれまでの日本人ワーケーターと海外からのデジタルノマドが混在する状況の影響や外国人デジタルノマドとの越境学習効果、グローバル関係人口、といった新たな現象が顕在化してきており、こうした側面からのアプローチも研究対象として加えリサーチの準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究初年度で2024年度に向けた包括的なレビューや、先進地でのフィールドワークを中心に一定レベルまで研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
元来、ワーケーション施策の推進は、コロナ禍によるインバウンドや国内観光需要喚起が主な目的であり、国内日本人マーケットを対象したものであった。今後はコロナ収束による影響をどのように研究に反映させるか、急増するデジタルノマドと地方での取り組みなども含めて検討を重ね、先進的な海外における事例も積極的に研究を進め、研究内容をアップデートしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により課題番号 20K12424の2020年度 基盤研究(C)の研究が延長されたことで、一部旅費などの支出が次年度使用となった。
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