研究課題/領域番号 |
23K11634
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
小舘 亮之 津田塾大学, 総合政策学部, 教授 (00318859)
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研究分担者 |
鈴木 貴久 津田塾大学, 総合政策学部, 准教授 (00774879)
曽根原 登 津田塾大学, 総合政策研究所, 研究員 (30390595)
若原 俊彦 津田塾大学, 総合政策研究所, 研究員 (80318857)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 観光マネジメント / 群流データ / オープンデータ / スマートシティ / 共通語彙基盤 / データ駆動 / ツーリズム / RDF |
研究実績の概要 |
本研究では,地域のスマートシティ対応状況を評価する指標の「スマートシティ対応成熟度」を向上させるために,リアルタイムデータ収集・集積基盤を構築・拡張し,蓄積データの時空間アーカイブ化とその利活用によって,スマート観光マネジメントシステムを実装し,対象地域での評価実験を通じて,システムの効果と課題を検証することを目的としている.研究初年度の2023年度は,サブテーマ1「スマートシティ対応成熟度レベルの評価」とサブテーマ2「リアルタイムデータ収集・集積基盤の構築」,サブテーマ3「蓄積データの時空間アーカイブとその利活用環境」の3つのサブテーマにおけるシステム設計を行い,評価方法を検討した. サブテーマ1では,観光マネジメントに関して,長崎県長崎市を対象地域として宿泊施設の稼働Web予約システムより取得した宿泊施設の客室稼働に関するデータから,その稼働率向上に寄与する要因について統計的分析を行った.サブテーマ2については,東京都渋谷区千駄ヶ谷とその周辺の研究フィールドに設置した群流データを取得するためのセンサネットワークによるデータ収集と分析を行なっている.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会期間中に収集したデータを整理し,期間中の群流データに対して,オープンデータから周辺の建物の高さ,天候など条件を加味した分析を行なった.その結果,これらが来場者数に影響を与える明白な要因ではなかったことを確認した.さらに,2023年8月の1ヶ月間のデータを収集し,ポストCOVID-19時代の大規模イベント開催時とそれ以外の群流の差異について評価を行なった.サブテーマ3については,東京都渋谷区千駄ヶ谷地域の公共向けのデータである医療機関に関するデータを対象としてIPA共通語彙基盤の医療機関データモデル(DMD)に基づいてRDF化した.SPARQL検索の結果,提案手法の有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究初年度として,研究環境として,東京都渋谷区千駄ヶ谷周辺の研究フィールドの整備に加え,観光マネジメント分析に必要なデータの収集環境を整備することができた. さらに,設定した3つのサブテーマにおいて,計画通り研究を進捗させることができ,すべてのサブテーマにおいて,国際学会に査読つき論文を投稿した結果,いずれも採録され,一定の研究成果をあげることができた. したがって,当初の計画通り,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に継続して,サブテーマ1「スマートシティ対応成熟度レベルの評価」とサブテーマ2「リアルタイムデータ収集・集積基盤の構築」,サブテーマ3「蓄積データの時空間アーカイブとその利活用環境」の3つのサブテーマにおけるシステム設計,評価方法について研究を継続する.以下,それぞれの計画について記す. サブテーマ1「スマートシティ対応成熟度レベルの評価」については,関連するステークホルダー別の検討を行う.2023年度は宿泊施設など観光マネジメント側のステークホルダーを分析対象としていたが,2024年度は,これに加えて行政機関や観光客といった一般消費者についても検討する. サブテーマ2については,2023年度の分析結果から得られた課題として,タイプの異なるイベントや異なる時間帯における訪問者の好みや行動パターンの分析方法と,公共空間の設計と運用管理への応用について検討する. サブテーマ3については,2023年度の成果を発展させて,IPA共通語彙基盤を用いて東京都渋谷区千駄ヶ谷の文化や歴史を含めたRDFデータベースや知識ベースを構築し,宗教・文化・歴史等を含めた観光のオントロジーを構築するとともに,生成AIなどを導入してユーザの希望する観光施設の推定を行いながら観光巡りが出来るシステムの構築を図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,データの収集と整理などの作業に対する謝金枠を計画していたが,初年度の2023年度は自動収集されたものに加えて,協力者から提供されたデータを分析対象とすることができた.また,学会等への出張旅費については,経費の規模的に他の研究費を充当することができたため,当初計上した費用よりも少ない支出額となった. 2024年度は,多様なデータを分析対象と含める計画もあり,データの収集にかかる旅費やデータ整理などの作業に対する謝金として使用していく計画としている.
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