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2023 年度 実施状況報告書

ソーシャルネット時代における旅行者の観光価値評価のモデル化

研究課題

研究課題/領域番号 23K11636
研究機関法政大学

研究代表者

諸上 茂光  法政大学, 社会学部, 教授 (60422200)

研究分担者 木暮 美菜  淑徳大学, 地域創生学部, 助教 (80981828)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードトポス性 / 主体 / 客体 / コンテクスト
研究実績の概要

初年度は観光で来訪する消費者が地域価値を評価する要因の洗い出しとモデル化を目指した.まずは,地域の価値がどのように地域住民によって編集され,観光客に提示されているのかについて,先行研究を整理した.その結果,地域資源の持つトポス性がその一つの重要な要因であることが明らかになった.
トポスとは、何らかの特別な意味があると認識され周囲の空間と識別される,概念としての「場」を指す.どんな地域にも,史跡,公園,有名店舗,名勝,聖地などの地域資源が点在している.こうした地域資源は地域住民に愛され,特別な意味や価値を持つものとして様々な媒体を通して積極的に地域外の消費者に紹介されているが,しばしばそれは地域外の消費者には期待通り受け入れられておらず,十分に観光資源として観光客を誘引するには至らない.
そこで,先行研究のレビューをもとに,この両者の認識のずれを,ひとつの地域資源を巡る地域の主体と地域の客体の認知するトポス性の違いから説明できるような理論モデルを構築した.さらに,いくつかの地域で行った実地調査の結果,各地域資源がそれぞれ持つトポス性を何らかのコンテクストでまとめて客体に呈示することで,客体は地域資源そのものだけでなく,地域自体に対してもトポス性を認識する可能性があることが示唆された.
今後,各地域資源のトポス性をまとめ上げるコンテクストに必要な要因をさらに探索するとともに,地域資源のトポス性と地域自体のトポス性,それぞれが観光客など地域の客体の心理に与える効果について検証を進めたい.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,先行研究のレビューをもとに,地域価値を評価する要因の洗い出しと理論モデルの構築を行い,また,トポス性がどのような形で客体に呈示されているのかを,実際にいくつかの地域で実地調査を行うことで分析することができた.一方で,モデルは改良が必要なため,当初予定していた心理実験によってモデルの妥当性を部分的に検証する段階にはまだ至っていない.しかしながら,得られた研究成果については,学会発表および著書の分担執筆の形で公表しており,おおむね順調に進捗していると判断した.

今後の研究の推進方策

地域が保持する地域資源のタイプごとにいくつかの地域でインタビュー調査および実地調査を行うことで,引き続き各地域資源のトポス性をまとめ上げるコンテクストに必要な要因をさらに探索するとともに,地域資源のトポス性と地域自体のトポス性,それぞれが観光客など地域の客体の心理に与える効果について検証を進めたい.また,そこで得られた知見を取り入れて,トポスを中心とした地域価値認識のモデルの精緻化を進めたい.
さらに,構築したモデルの妥当性を検証可能な心理実験について設計し,部分的に予備的な実験を実施する予定である.

次年度使用額が生じた理由

モデルの妥当性を検証するための心理実験を設計する段階まで今年度は至らなかったため,
実験を遂行する際の実験補助者および実験協力者謝金が執行できなかった.
次年度に実験を遂行する際に執行する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 地域価値を向上させる三層の関係編集ネットワーク2024

    • 著者名/発表者名
      諸上茂光, 木暮美菜
    • 学会等名
      地域デザイン学会第6回地域デザイン研究推進フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域空間の象徴性の生起-トポスが生まれるとき-2023

    • 著者名/発表者名
      木暮美菜, 諸上茂光
    • 学会等名
      地域デザイン学会第5回ZTCAデザインモデル研究フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 地域のためのトポスとゾーン -概念と関係性の再考-2023

    • 著者名/発表者名
      諸上茂光, 木暮美菜
    • 学会等名
      地域デザイン学会 第6回ZTCAデザインモデル研究フォーラム
    • 招待講演
  • [図書] 地域デザイン学会叢書10『地域デザイン研究のイノベーション戦略 -フィードバック装置としての多様なメソドロジーの開発-』(原田保,西田小百合編著)第3章2023

    • 著者名/発表者名
      諸上茂光 , 木暮美菜
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      学文社

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公開日: 2024-12-25  

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