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2024 年度 実施状況報告書

人の密集回避のための導入が容易な利用者数自動計測システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K11659
研究機関東京工科大学

研究代表者

松岡 丈平  東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (80814110)

研究分担者 服部 聖彦  東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00435794)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード人数計測 / 待機列検出 / 蛇行列対応 / Flow-Intensity / 行動空間認識 / 混雑回避支援
研究実績の概要

令和6年度は,前年度に実施した人数計測実験により明らかとなった課題である「直線的でない”蛇行列(Winding Queue)”に対する既存検出手法の精度低下」に対応することを主眼とし,新たな列領域推定手法の提案とその検証を中心に研究を進めた.
これまでの手法は,カメラ映像上で直線的に整列する人物群に対する空間的クラスタリングにより,一定の精度で列の抽出および人数計測が可能であった.しかし,列が曲線状あるいは複雑な屈曲を伴う場合,空間的整合性が失われ,過検出・検出漏れが顕著となるという問題が発生した.そこで,人物移動のオプティカルフローを時系列に積算するFlow Intensity Mapという概念を新たに提案し,これを基盤に曲率と密度勾配に基づく列領域の曲線近似推定を行う新たなアルゴリズムを構築した.提案手法では,曲線状に構成される列の連続性を考慮した領域抽出が可能となり,単純な密度ベース手法と比較して空間的整合性の高い列抽出が実現された.この手法の有効性を評価するため,公共施設における混雑時の待機列を模した映像データセットを独自に構築・整備し,他手法との比較実験を行った結果,F1値で従来手法を大きく上回る精度を達成した.
また,推定結果の照合・編集を目的としたGUIおよび記録用データベースのプロトタイプを実装し,エンドユーザによる利用可能性の検証を開始した.その記録結果を自動蓄積するクラウド型データベースの実装も行った.今後さらに,列の分類(直線/蛇行/並列),複数列の同時分離,および列の一時的崩壊や再構成といった非定常現象への対応が重要な課題であると考えられる.
なお,本研究成果の一部は現在,学術論文として執筆中であり,今後の投稿を予定している.

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では、1年目において基礎的な人数計測アルゴリズムの実装と、列構造の初期モデル構築を主な目標として設定していたが、それに加え、現場観測により新たに抽出された課題(蛇行した待機列への対応)に対して、2年目となる令和6年度中に手法の提案と実証的検証まで到達することができた.また、GUIやクラウド型データベースのプロトタイプも当初は3年目以降に着手予定であったが、実装が前倒しで進み、ユーザビリティの観点から今後の展開への見通しが立った点は、研究の着実な進捗を示すものである.さらに、本研究で扱う人数計測技術は、社会実装を見据える上で、精度と汎用性だけでなく、利用者が結果を理解・修正できる環境の整備が重要である.
こうした要素を開発初期段階から意識して取り込めたことも、順調な進展の一因である.なお、研究成果の一部については学会発表を経たうえで現在論文化を進めており、次年度には成果の公表・発信が可能な状況にある.これらの進捗は、計画全体に対して明確な整合性を保っており、全体として概ね計画どおりに研究が進行していると判断できる.

今後の研究の推進方策

令和7年度は,これまでに構築してきた人数計測手法および列領域抽出アルゴリズムをさらに発展させ,実用化に向けた完成度の向上を図る予定である.特に,令和6年度に開発した蛇行列対応の列領域推定手法に対し,映像内の歪みや視野の制限による計測誤差を低減するための補正処理として,鳥観図補間(Bird’s-eye View Transformation)を導入し,視点変換に基づいた空間的整合性の高い人数推定を可能にするアルゴリズムを実装する.
さらに,複数の列が同時に並行して存在する場面において,各列の領域を正確に分離し,個別の構造認識および人数計測を実現するための識別手法・前処理ステップの拡張にも取り組む.列構造の変化(合流・分岐・屈曲)や人流の干渉を含む非定常状態への対応も,実環境での適用を見据えた重要課題と位置付け,継続的に検討を進める.
また,GUIやデータベースの面では,ユーザ視点での利便性を高めるため,操作系や表示内容の改善,および複数端末・拠点間での同期運用を前提としたデータ処理構造の強化を進める.
さらに,令和6年度は外部発表や論文発表といった研究成果の対外的発信が十分に行えなかったことから,令和7年度においては学会発表や論文投稿等を通じて研究成果の可視化・共有を積極的に推進し,学術的意義と社会的有用性を明示する予定である.

次年度使用額が生じた理由

令和6年度において予定していた学会発表や論文投稿等の対外的成果発信活動が,執筆・準備の遅れにより年度内に完了せず,一部が次年度に持ち越される見込みとなったため,旅費および謝金に関する支出が計画を下回り,使用額の残額が生じた.これらの成果発表活動については,令和7年度後半に複数件を実施予定であり,その旅費等として活用する予定である.一方,物品費に関しては,近年の物価高騰やGPU価格の急騰により,当初想定よりも高額の支出を要しており,研究遂行に不可欠な演算資源の整備に影響が出ている.令和7年度も高性能GPUの追加購入を予定しているため,研究の遂行に支障が出ない範囲で旅費等の一部を物品費に振り替えて対応する可能性がある.

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公開日: 2025-12-26  

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