研究課題/領域番号 |
23K11663
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高橋 一夫 近畿大学, 経営学部, 教授 (90469304)
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研究分担者 |
室岡 祐司 九州産業大学, 地域共創学部, 准教授 (50615359)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 観光地域づくり法人(DMO) / 第三セクター経営 / マネジメント・コンサインメント |
研究実績の概要 |
2015年に日本にDMOの概念が導入されてから8年になるが、欧米のような成果を出しているDMOは数少ない。この現状に対し、デスティネーション・マーケティングの研究は出てきているものの、組織マネジメント研究は未だ進んでおらず、成果を出すDMOの組織マネジメントへの学術的研究の期待は高い。本研究は、DMOが実質的に自治体の階層組織の一部となっている点に着目し、三セクであるが故の制度的課題や実務的課題の要因と現状改善を三セク研究の視座から解明することが目的である。 研究の一年目は、人材・財源不足等、組織運営の根幹に関する課題を整理するため、近畿運輸局の協力で、全国310のDMOにアンケートを実施し、110団体から回答を得た(回収率は35.5%)。このアンケートの分析についても順調に進み、第三セクターであるが故の課題が見つかり、問いをを立てることができた。そこで、近畿運輸局と九州運輸局の管内に絞り、行政の階層組織に組み込まれたDMOのマネジメント課題のアンケートを取り、必要な箇所には追加でインタビューも行った。その結果、人材・財源・経営・組織・計画・自治体の支援と関与の6つに分けて整理することができ、特に民間からDMOへの出向、行政からDMOへの出向、特定財源の有無、観光政策におけるDMOの位置づけの不明確さに大きな課題があることも見えてきた。 また、代表研究者の高橋が代表理事を兼職するDMOがあり、小規模で従来から観光地と呼ばれていなかった地域のDMOのマネジメントについて、研究分担者の室岡がインタビューをすることで、観光地でない地域、規模などDMOの置かれた環境を読み解いて分析に当たれるようにデータの積み上げを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近畿運輸局とはDMOの組織マネジメントの課題を共有していることもあり、その協力のもと、アンケートの取得・分析が進み、順調に進展している。 代表研究者の高橋は、DMOの実務上の組織マネジメント課題が発生する要因について考察するため、近畿運輸局の協力を仰いで、全国のDMO310団体にGoogle formによるアンケートを実施した。人材・財源不足等、組織運営の根幹に関する課題を整理するためである。110団体から回答があり、DMOにおける組織課題の多くは、自治体と民間で組成される第三セクター(以下、三セク)であるが故の課題ではないかということが明らかになった。 そこで、更に近畿運輸局と研究分担者の室岡の大学の所在から九州運輸局管内に絞って、行政の階層組織に組み込まれたマネジメント課題とその原因を、自治体・DMOそれぞれの視点から確認するためのアンケートを実施し、その集計を通じて、複数の自治体・DMOにはインタビューも試みた。 加えて研究分担者の室岡は、「観光まちづくり途上地域」に所在するDMOの経営実態を把握するために、先行研究(高橋2022「DMO運営組織に関する考察-観光振興における地域エコシステムへ向けて-」)をレビューした上で、東大阪DMOの理事長(研究代表者の高橋)へインタビューを実施した。結果、組織マネジメント上の課題は、個人・組織の成長・発展へ向けたインセンティブが働きにくい組織設計や風土にあり、その主な要因は、①恣意的な人事や採用の弊害、②人事評価及び評価反映の仕組みがないことの弊害、③公金を基盤とした組織運営がもたらす弊害にあることを日本観光研究学会の論文・発表にて指摘した。また、組織マネジメント上の課題の原因を明らかにするため、高橋と共に近畿運輸局の協力によるアンケート調査の実施にも参加し、九州地区のDMOインタビュー及び分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
実務に結びついた理論と組織マネジメントの手法の提案であるため、DMO実務を担う研究協力者(神戸観光局 中西専務、大阪観光局 塩見事業部長、瀬戸内ブランドコーポレーション(せとうちDMO 井坂取締役、千葉市観光協会 松本事務局長)のアドバイスと研究協力を仰ぎながら進める。2年目の研究は以下のようにしたい。 1.これまでのアンケート、インタビューのデータの分析をすすめる 2.アンケートの回答をしたDMOを中心に西日本、東日本にわけてフィールド調査をおこなう 3.海外事例の文献調査及び事例調査をおこなう。特にドイツのシュタットベルケについて注力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
・全国のDMOにアンケートを取るにあたり、近畿運輸局の声掛けで進んだこともあり、Googleフォームを使用してアンケートを取得することができた。そのため、郵送料及びデータ入力集計費用が掛からずに済み、人件費・消耗品費をかけずに済ませることができた。 ・各地のDMOへのヒアリングは次年度にまわしたため、旅費も少なくて済んだ。 ・次年度は、今年度のアンケートから気になるDMOをピックアップし、フィールドワークとヒアリングをするため、その分の費用にまわしたい。 ・日本国内の取りまとめとともに、海外の優れたDMOやドイツのシュタットベルケにもヒアリングをかける予定である。
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