研究課題/領域番号 |
23K11688
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
石黒 久仁子 東京国際大学, 国際戦略研究所, 教授 (90573915)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 女性起業家 / 地方 / ジェンダー / 女性のキャリア |
研究実績の概要 |
2023年度は実地調査に向けて、1)文献・統計のレビュー、2)調査インタビューのコンタクト確立、3)ライフヒストリー調査の手法の研究の確立、4)2024年度ESAに発表する論文の準備と申請を重点的に実施した。 1)文献・統計のレビューでは、中小企業の起業と女性起業家の総数・産業・売上等の基本データとともに、起業の動機、家族構成、世帯収入など、女性起業家の特徴をレビューした。更に、それら国内のデータを海外先進国の状況と比較・分析した。分析にあたっては女性の起業とキャリア形成に係る理論を整理し、本研究においての適用可否を検討し、今後の分析と発表の基礎とした。また、女性の仕事と家庭に係る問題、ジェンダー平等の進展に関する国内政治・社会の動きに注目し、新聞、ジャーナリストの発信するデータを中心に継続してデータの収集を実施した。加えて、学術書・一般書から、国内外で起業家として活躍する女性の伝記・エッセイを読み、分析視角のヒントを探っている。 2)研究対象である長野県の市町村を訪れ、市役所・町役場・商工会議所・現地で企業を運営している方達との面会を実施し、2024年度の調査に向けてのコンタクトを確立した。当該対象地区に加えて、東京都内の女性起業家とのコンタクトも継続して実施し、地方-都市間の比較調査の準備を進めた。 3)ライフヒストリーの手法の新たな論文を収集・レビューし、より効果的な分析と論文執筆に向けての準備を進めてた。 4)2024年8月開催のESAでの論文発表の準備を実施した。本調書執筆時点でプロポーザルは受理され発表予定である。(Female Entrepreneurs In Rural Areas In Japan: Networks And Collaborations To Rebuild And Redesign Shrinking Cities)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主体となる現地調査を研究2年度(2024年度)に予定しており、そのための準備である、1)文献・統計のレビュー、2)調査のためのコンタクトの確立及び調査対象者とのコンタクトとインタビュー・スケジュールの決定、3)研究進行中のデータの提出・分析の方向性を発表・意見を討議する学会(ESA)への参加が決定している。現地調査へのコンタクトは、筆者の中学・高校の同窓生で対象地域に現在も居住あるいは、同県内の市町村に移住した方達を通じてネットワークを広げて確立をしている。
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今後の研究の推進方策 |
1)2024年4月ー2025年3月にかけて、長野県内の市町村で合計20名の聞き取り調査を実施する。更に、都内においても10名を目標として聞き取りを実施する。また、過去に聞き取りにご参加くださった方達に再度コンタクトをし、現在までのキャリアヒストリーとこれまでに起こった変化を聞き取り、分析する。 2)同時期に市町村役場、銀行・信用金庫とのコンタクトを確立し、地域の女性活用、女性起業家助成の施策、及び課題・問題を聞き取り、女性自身経験の分析に役立てる。 3)これまでのデータから見出された内容を取りまとめ、2024年8月にESAにて発表する。本学会の他、日本における女性活用の推進と現状を諸外国のケースと比較分析するべく、国外の研究者とのコミュニケーションも積極的に取っていく。 4)同時に、ジェンダーとビジネスをテーマとしたセミナー等で、研究から得た知見を広く共有し、更に調査のためのデータ収集に役立てる。 5)これらの活動から得た知見を国際ジャーナルで発表すべく、論文執筆・投稿を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は翌年度からの聞き取り調査の準備を中心に実施したが、多くのデータ・統計は所属機関にて取得可能であった。さらに、個人にて所有しているソース・ツール・機器を使用して準備を進めることができた。聞き取りの準備とコンタクトの確立においては、オンラインツールを使用して行ったことと同時に、研究者が研究目的外で物理的に現地に赴いた際に対象者とミーティングを行うことができたため(合計6回)、主だった旅費が発生しなかった。 一方、2024年度は多くのインタビューの実施(20件)を予定しており、旅費、テープ起こし費用、ドキュメントの校閲、国外学会参加、などの付随する費用が多く発生するのと、一部の費用が為替相場の変化により当初予定より40-50%上昇することが見込まれる。そのため、次年度に相当額を必要とすることが予定され、2023年度に未使用の費用を2024年度に持ち越すこととした。
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