研究実績の概要 |
Harris, Richard,2012,Building a Market:The Rise of the Home Improvement Industry, 1914-1960や、Todd L. Goodsell, 2008,"Diluting the Cesspool:Families, Home Improvement, and Social Change",Journal of Family Issues,29(4)、Durst, Noah J. and Cangelosi, 2021, Elena J.,"Self-help housing and DIY home improvements: evidence from the American Housing Survey",Housing Studies,36(8)など、英語圏のDIYに関する著作や論文を収集し、その歴史的変遷と現状について整理した。 また海外の先行研究を踏まえつつ、日本のDIYの歴史に関する調査を開始した。 まずは戦前に提唱された住まい手自身による住居補修や日用品の手づくり(家庭工作)を日本のDIYの嚆矢として位置づけ、その変遷を調査した。特に家庭工作の提唱者で家具デザイナー・木工教育者の木檜恕一に焦点を当て、彼が設立した木材工芸学会の学会誌を紐解きながら、大正~昭和初期の家庭工作がどのような思想のもとで提唱されたかを明らかにした。 さらに戦後日本におけるDIYの展開として、学校教育、主に家庭科教育における家庭工作の変遷と、女性向け雑誌の中で提唱された家庭工作や日曜大工の有様について調査を行なった。具体的には戦後の日本で新しい女性のライフスタイルを提案し人気を獲得した雑誌『それいゆ』『ジュニアそれいゆ』を主軸に、これらの雑誌内で家庭工作やDIYがどのような営みとして語られ、提唱されていたかを明らかにした。
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