研究課題/領域番号 |
23K11691
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 生殖補助医療 / 配偶子提供 / 精子提供 / 卵子提供 / 出自を知る権利 / ジェンダー / 台湾 / イギリス |
研究実績の概要 |
2023年度は配偶子提供を伴う生殖補助技術(以下、ART)についての国内の実施状況の把握、海外における法制度と実施状況について、論文と実施したオンラインでの国際セミナーおよびその講師からの情報提供によって把握した。 日本は日本産科婦人科学会による登録制度があるのは提供精子による人工授精(AID)だけであり、提供卵子の実状は把握されていない。また、SNSによる精子提供の事例や提供精子・提供卵子ともに海外で施術を受けている件数は把握されていない。そこで、日本から配偶子提供を伴うARTを受けるために渡航者が多い台湾についてのヒアリングを専門家に行った。それによって日本から渡航して配偶子提供を伴うARTを受けている人の件数、生まれた子どもの人数が把握できた。 さらに、法制度が整っているイギリスとオーストラリアのビクトリア州について調べた。イギリスやビクトリア州では実施に際して配偶子提供者(以下、ドナー)および子どもを得ようとした人の情報と実施回数、生まれた子どもの情報と人数が記録され、その記録の管理が法律等で定められていること、それは生まれた人が自分のドナー情報などの出自を知る権利を保障するために機能していることがわかる。一方、台湾では、ドナーが匿名であることが法律で定められているため、配偶子提供を伴うARTの実施件数と、それを受けた人の国籍、生まれた子どもの人数などは把握されているが、ドナー情報の記録が将来的に開示できる状況なのかはわからなかった。また、実施登録制度がある国でも、近年はSNSによる個人間の精子提供が行われており、また海外での実施についても、その実態は把握できない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本における配偶子提供を伴う生殖補助技術の実状を把握するのに、国内での資料の入手は困難であるため、台湾の研究者からの情報提供を受け、日本から台湾に渡航して配偶子提供を伴う生殖補助技術を受けて子どもを得た人の件数を把握することができた。また、台湾、イギリス、オーストラリアのビクトリア州の情報を得るためのキーインフォーマントができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究を発展させるために、次年度以降、日本と台湾でのフィールドワークを行う。 また、日本国内と台湾での配偶子提供を伴う生殖補助技術を求める人へのインタビュー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の海外での学会発表および海外調査が研究代表者の公務のため実施できず次年度に変更したため。2024年に台湾での調査を実施する。
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